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宗教界の対応が問われる 日弁連が「2020年までに死刑廃止」宣言(3/4ページ)

2016年11月9日付 中外日報(深層ワイド)

死刑廃止は世界の潮流だが 参加教団を増やすことが課題

宗教者ネットワークが毎年開く死刑執行停止を求める「祈りの集い」(昨年12月、京都・大本本部で)

ネットワークは2014年8月、「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム'90」などと毎年開く全国交流合宿で、20年までの死刑廃止と執行停止を求める要請書を日弁連の宣言に先駆けて発表し、首相、法相らに送付した。

20年は東京オリンピック開催の年。要請書は「死刑は非人道的な刑罰であり、人間の尊厳保持をうたうオリンピック憲章の精神に反する」とし死刑廃止をオリンピックの「レガシー(遺産)」にするよう求めた。

天台宗は1999年、「死刑制度に関する特別委員会」で、「仏教は、生きとし生けるものを殺してはならない不殺生を説く。あらゆる生き物の生命を尊重する観点からすれば、人が人を殺生する死刑制度は廃止すべき」だとの見解を発表している。

また、ネットワークは要請書と同時に掲げた「20年に向けての行動」で、「日本が死刑執行を続けていることに懸念を示すよう欧州委員会に働きかける」方針を打ち出した。「日本は外圧に弱いということもあり欧州委への働き掛けを盛り込んだ」(雨森氏)

加毛氏も「世界の多くの人は日本に死刑制度があることを知らない。オリンピックで日本に来たときにどう思うか。同年(日本開催の)国連犯罪防止・刑事司法会議で、各国から集中砲火を浴びるだろう」と懸念を示す。

死刑の停止・廃止を求める国際機関の勧告に対し、政府が制度維持の理由にしてきたのが国民世論の高い支持だ。5年に1度の内閣府の調査で、2014年には「死刑もやむを得ない」との回答が80・3%に上った。

これに対し、ネットワークは昨年7月、日弁連の小川原優之・死刑廃止検討委事務局長を招き、「世論調査と死刑廃止」をテーマに京都でセミナーを開催。14年の調査結果を改めて検討すると、8割の死刑容認派のうち40・5%が将来的な廃止を否定しておらず、小川原氏は「容認80%」を強調するマスコミ報道に異議を唱えた。

世論調査は質問の文言や方法の違いで結果が変わることも知られている。阪本氏は「強固な死刑存置派の人は少ない。皆、何となく賛成している」と語る。

ネットワークでは「調査の主質問を誘導的なものから公正なものに変えるよう働きかける」ことや、「刑場の公開など死刑に関する情報公開を促す」ことも「行動」に掲げた。

日弁連の宣言は「死刑制度に関する情報公開は極めて不十分」と指摘。「十分な情報を提供し、熟議すれば、国民世論も変化し得る」としながら「そもそも死刑廃止は世論だけで決めるべき問題ではない」として、人権尊重の観点から政府に決断を促している。

死刑廃止は国際的な潮流であり、現在、廃止国は140カ国に上る。いわゆる先進国で死刑を執行しているのは日本とアメリカだけだ。

雨森氏は「今までは国全体として廃止の方向はまるで見えない状況だったが、終身刑の話が報道されたりして、人々の考え方も少しずつ変わってきているのではないか。20年は日本が変わるチャンスだ」と話す。

死刑廃止を説いた出口王仁三郎聖師の「人類愛善」の教えから死刑制度に反対する大本の木村且哉・国際愛善宣教課主任は「いかに参加教団を増やしていくかがネットワークの課題。オブザーバーにとどまらず共に活動してもらえるよう、新宗教などにも参加を呼び掛けたい」と述べ、活動の前進を誓った。