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宗教界の対応が問われる 日弁連が「2020年までに死刑廃止」宣言(4/4ページ)

2016年11月9日付 中外日報(深層ワイド)

憎しみは死刑で癒えない

映画「望むのは死刑ですか」のちらしを手に来場を呼び掛ける浅野牧師

日本基督教団京都教区は今年4月、「教会と社会」特設委員会内に「死刑廃止を求める小委員会」を設け、死刑制度の廃止を目指す取り組みをスタートさせた。

特設委と小委員会代表の浅野献一・室町教会(京都市上京区)牧師は宗教者ネットワークに参加し、小委員会の最初の催しとして29日、ドキュメンタリー映画「望むのは死刑ですか―考え悩む“世論”」の上映会を同教会で開く。

日本基督教団は1982年、第22回総会で死刑制度の廃止を求める声明を採択。執行時に抗議声明を出すなどしていたが近年は教団として表立った運動は行っていない。

京都教区は特設委で性差別、障害者問題など社会の様々な課題に取り組んでおり、死刑の問題についても「まず勉強会から」活動を始めることにした。

浅野氏は6月、大谷派の行事に参加して同映画を鑑賞。来場した長塚洋監督の話にも耳を傾け、死刑制度を考える格好の教材として、小委員会での上映を決めた。

映画は、一般市民135人が東京の会場に集まり、死刑について論じ合う様子を撮影したドキュメンタリー作品。

世論調査の結果と同様に参加者の多くが当初、死刑に賛成していたが、弁護士や犯罪被害者の話を聞き、互いに意見を述べ合う中で、当然だとしていた考えが揺さぶられ、悩み戸惑う市民の姿をカメラは捉える。

浅野氏は「死刑に賛成といっても、本当に考えた上でのことなのかが問われるべきです。いのちの問題と向き合う宗教者は特にそうでしょう。一番怖いのは無関心。日弁連さんが宣言を出されたのも良かった。映画が死刑制度について考えを巡らせる取っ掛かりになれば」と願う。

浅野氏自身はなぜ死刑に反対するのか。

「キリスト者として、いのちの問題だという答えは当然。冤罪などもある。では仮に宗教的立場を離れて一個人としてはどうか。もし自分の家族が事件に遭ったら許せない、自分の手で殺したいと思うだろう。しかしそれはできない。では国が殺したら、本当に気持ちは晴れるのか」

賛成論にある「処罰感情」を自分の身で考えたとき、どうなるのかを自らに問う。

「犯人は憎いだろう。しかし簡単には死んでほしくない。生きて罪の重さに気付き、死ぬこと以上の生きる苦しみを負ってほしい。その中で相手と和解できることが大事だと思う。死んでしまい和解の機会が一生失われるのは一番つらい。憎しみを癒やすのは死刑ではないと思うのです」

今後の小委員会活動については「年1回は催したい。カトリックなど他の教派にも声を掛けていく。意識を持ってくださる方が少しずつ増え、息長く活動をつないでいければ」と抱負を語った。

上映会は午後3時から。上映後に長塚監督の講演と参加者との話し合いが予定されている。参加自由。