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僧侶連携し檀家離れ防ぐ 法灯守る地域での共同教化(1/4ページ)

2016年11月23日付 中外日報(深層ワイド)

過疎化などにより仏教各派の兼務寺院が増え、檀家離れも進んでいる。こうした逆風の環境の中で、地域の寺院が共同して教化のネットワークをつくり、成果を挙げつつある。仏教への関心を高める活動をはじめ、新たなツールを駆使した情報発信、既存の施設を地域の活動拠点へ再生させるなど地域事情に沿った取り組みだ。当事者たちは、宗教者同士の普段の交流、従来の枠組みを超えた幅広い連携の大切さを話す。(萩原典吉)

今年4月に行われた大阪市仏教会・同青年会主催の花まつり子ども大会。10回目を迎えた仏画コンクールも定着してきた

「葬式にお坊さんが要りますか?」。今年4月、消費者団体主催のシンポジウムのパネリストを務めた大阪市仏教会の白井忠雄会長(72)=融通念仏宗宝泉寺住職=は、配布資料の中にあるこの字句に驚いた。

葬儀の簡略化を考える集会で、白井会長は約100人の参加者に「合理化、簡素化のあまり、生きる支えとなる信仰心を失ってはならない。葬儀を宗教行事と考えないならばそれでいいが、そうでないならば僧侶や神職、神父らの宗教者が必要」と訴え、参加者の反応から「ちゃんと話せば、多くの人は理解してくれる」との手応えを感じた。

「この10年くらいで大阪でも檀家の意識が変わった」と白井会長は感じている。以前は2、3人の僧侶で葬儀を営むのが通例だったが、家族葬が増えて1人の僧侶が全ての役割を受け持つ形だけの葬儀になってきた。少し前までは、檀家が亡くなれば夜中でも枕経に向かったが、それも減っている。ただ、大阪市内では今も月参りなどで普段から寺院と檀家のつながりができている。市内の住職は葬儀がいつ発生するか分からないため、出張しても日帰りをするケースが多いという。

大阪市仏教会は市内24区のうち、現在22の区にある仏教会の連合体で、約850カ寺が加盟。毎年盛大に行う花まつりと、成道会、涅槃会の三大法会を通して釈尊の教えを伝えている。関連団体に、大阪市仏教青年会、大阪青少年教化協議会、またビハーラ活動などに取り組む社会福祉委員会があり、それぞれの活動も盛んだ。

ただ三大法会を行っても、その縁に触れる人は来場者に限られ、いまひとつ広がらない。白井会長は仏教の各宗派がそれぞれ進める布教伝道が大切だとして、「いろんな形で仏教を発信し、『こんな話を聞いた』『こういうのも見た』という状況をつくることが必要」と、地域全体への仏教情報の多彩な発信によって関心を高める必要性を考えている。

4年前、大阪市仏が働き掛けて西淀川区に仏教会が再結成された。まだ具体的な活動は始まっていないが、区内の他派の住職同士が顔見知りになり、白井会長は「僧侶同士の信頼関係が、一般への教化の力になる」と期待を寄せる。

大阪市仏は今年、結成70年を迎え、12月に市内のホテルで記念講演会・コンサートを開く。節目の行事を機に、白井会長は「いよいよ宗教離れ、寺院離れについて協議したい。手遅れにならないうちに」と次への取り組みを見据えている。