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仏道歩む手助けになるか 施行された「障害者差別解消法」(4/4ページ)

2016年12月21日付 中外日報(深層ワイド)

障害語れる教学が必要 授かった子に教えられ

内閣府や東京都では職員や事業者に向けて障害者差別解消法に関するハンドブックを作成している

髙佐宣長・日蓮宗善行院(東京都墨田区)住職(56)は重度の知的障害のある長男を通じて、教学の現代化の必要性を感じている。祖父の髙佐日煌が創立した日蓮宗霊断師会では、信心を持って題目を唱えることで御利益が頂けると説く。「我々僧侶も御利益を頂けていることを世間の人に分かりやすく伝えることが大切だが、一般の方々から見れば、障害を持った子どもを授かることが御利益とは思い難いであろう。御利益とは何なのか、成仏するとはどういうことなのか。障害を持った方々に向けて教学を補っていきたい。障害を持つ長男を授かったことで、考えるお役目を頂いた」と言う。

現在、17歳になる長男は自閉症系の発達障害を抱えており、実際の知能は2、3歳程度とされている。現在は特別支援学校に通っている。僧侶になってもらいたいという希望はあったかという問いに、髙佐住職は首を振る。「本人が意思を持って修行できるのかという現実的な問題がある。基本的に智の宗教である仏教にとって、重度の知的障害を持った人が僧侶になれるのかは根幹の問題であり、各宗派の教義においても同様だろう」と。

また、檀家の理解を得る難しさも指摘する。幼い頃には檀家の年回法要中に大声を出してしまうこともあった。檀家がどう受け止めているのかは分からない。法事などでは事情を知らない親族等も訪れる。「もともとお寺は世俗とは切り離された空間であり、そこに荘厳さもあった。障害を持つ子がいることで、儀式に求められる秩序を乱すこともあり、檀家さんの前に出て行かないよう配慮せざるを得ないことには複雑な思いもある」。それでも、寺の催す行事には参列し、今では団扇太鼓をたたいたりお題目を唱えている。

髙佐住職は、障害のある人もない人もそれぞれがその人らしく共に生きられる社会の実現を願っている。