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難しい高齢住職の出処進退 スムーズな世代交代どう実現(3/4ページ)

2017年2月1日付 中外日報(深層ワイド)

後継者探しが難航するケース檀家から交代望む声 適任者公募も選択肢に

総務省の統計によると2015年、80歳以上の人口が1002万人となり、初めて1千万人を超えた。総人口が減少する中、高齢化率は上昇、60年には4人に1人以上が75歳以上になると予測する。

「しっかりした人に交代してほしい」。千葉県のある日蓮宗寺院の檀家がぼやく。「以前は素晴らしい法話を聞かせてもらい、いい住職だと感心していた。でもここ数年は法話の内容にも偏見が見られ、ありがたみを感じなくなった」

この寺の住職は認知症と診断されていないものの80歳を超えており、法務や寺院運営に檀信徒から苦情が出ることも珍しくない。寺庭婦人の介護のため寺を留守にすることも多く、境内管理にも目が行き届かなくなっているという。「住職というのは何よりもまず寺に住んで、寺院活動の陣頭指揮を執ってくれなくては。21年に宗祖降誕800年を控え、他の寺院では準備が始まっているのに、住職がこんなことでは何も進まない」と語気を強める。

信徒総代らが住職交代を申し入れても、責任役員を住職と関係の深い僧侶で占めているため、意見が通らないのだという。「寺は地域の中心で先祖代々が守ってきた。これからもここに住むので、他の寺に移るというわけにはいかない」と表情を曇らせる。

日蓮宗の12年度宗政調査(回答5259人)によると、教師の年齢構成は60歳代が最も多く1131人(21・5%)。80歳以上は398人(7・6%)で、その45%が非住職だった。回答寺院の35・6%、1377カ寺が後継予定者は「いない」と回答している。

曹洞宗龍泉院(千葉県柏市)の椎名宏雄住職(82)は「寺院は天下の公器。血縁や法類にかかわらず後継者を選任する」と言ってきた。子息はおらず10年以上前からこの方針を公言しているが、まだ後継者は見つかっていない。

同院は宗門認可の参禅道場。「誰でもいいというわけにはいかない。道心があり、参禅者を指導できる人でなければ」。求めるのは、仏の道を志す強い意志。それに健康。「年齢や学歴、本山で何年修行した、といったことは気にしない。道心のある若い人であれば、後から勉強すればいい」が持論だ。

80歳を超え、「これからは後継探しにもっと力を入れる」。知人に適任者はいないか声を掛け、見つからなければ『宗報』に広告を出して公募する考えという。「後継者の公募というのはあまり聞いたことがない。珍しいので話題になって、1、2年もすれば見つかるのでは」と期待をかける。もしそれでも眼鏡にかなう人と出会えない場合は、宗務庁に依頼して紹介してもらうつもりだ。「見つかるかどうかは、これからの努力次第」と話す。