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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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受動喫煙防止対策 宗教界の取り組みは…(1/5ページ)

2017年2月15日付 中外日報(深層ワイド)

世界的に禁煙や受動喫煙の防止が進む中、厚生労働省は今国会に、受動喫煙防止を強化する「健康増進法改正案」を提出する方針だ。2020年の東京五輪を見据えた動きで、小規模なものを除く飲食店や遊技場などの建物内を原則禁煙とし、罰則も設ける。既に病院や学校などの公共施設での禁煙は進んでいるが、改正法は宗教施設については特に言及していない。

伝統的な祭りでは、氏子や見物人の喫煙が黙認される傾向にあり、その規制は難しい。しかし、浜松市西区の息神社は境内を全面禁煙にするなど、禁煙に前向きな宗教施設も増えつつある。教義的に裏付けながら禁煙を啓発する宗教者もいて、子どもや高齢者が多く集う宗教施設でも受動喫煙への対策が求められている。(赤坂史人)

僧侶に多い喫煙者境内の全面禁煙は難しい

現在習慣的に喫煙している者の割合の年次推移(厚生労働省:国民健康・栄養調査より)

「境内を全面禁煙にしたいが難しい」と話すのは、長谷川泰紀・曹洞宗高庵寺(栃木県足利市)住職(64)だ。住職や寺族はたばこは吸わず、檀家の役員も協力的という。だが最大のネックは、同寺に招く僧侶に喫煙者が多いことだ。

以前から全面禁煙にしたいと周囲には伝えているが、僧侶の反応が良くない。「公共施設では禁煙が当然で、寺もいわば公共施設のようなもの。せめてお寺に来たときくらいは吸わないでほしい。でも、一般の人よりも僧侶の方がたばこを吸う」と語る。

僧侶の喫煙率に関する詳細な統計はないが、多くの僧侶が「お坊さんはたばこを吸う人が多い」と語る。かとうクリニック(愛媛県新居浜市)の加藤正隆院長は2010年に四国八十八カ所霊場札所を対象に受動喫煙対策などを調査した。

回答を得た71カ寺のうち喫煙すると答えた住職は10%、無回答が4%で、喫煙率は高くはなかった。受動喫煙による健康被害については71%の住職が認知していたが、敷地内禁煙が望ましいと答えたのは39%で、対策も不十分だったという。

加藤院長は「十分な調査ができたわけではないが、お坊さんはたばこの害に関しては必ずしも深刻に受け止めていなかった」と苦言を呈す。