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受動喫煙防止対策 宗教界の取り組みは…(3/5ページ)

2017年2月15日付 中外日報(深層ワイド)

日本仏教とたばこ禁煙を説く戒律はないが

近年は喫煙率の低下とともに僧侶の喫煙者も減りつつあるようだが、なぜ僧侶には喫煙者が多いというイメージがあるのか。それは日本におけるたばこの歴史とも関係がある。

たばこが日本に入ってきたのは室町時代とされる。ポルトガルの宣教師によってもたらされたなどの諸説あるが、17世紀には全国を遊行していた僧侶が普及に大きな役割を果たした。米より換金率の高い商品作物のたばこの栽培は農民救済になったため、僧侶が栽培を指導したという。そのため「生坂煙草」や「玄古煙草」など、僧侶の名前が付けられた銘柄もある。

江戸時代にたばこは大流行した。江戸幕府は火災が相次いだことや風紀の乱れ、またたばこの栽培に農地が転用されると米の収穫に影響があることなどから、禁煙令や作付禁止令で取り締まった。

禅林でも多くの僧侶が喫煙していた。曹洞宗中興の祖・卍山道白禅師(1636~1715)の語録には「當今禪林見此破綻、立補助制者、代佛擧化也(禅林はたばこによって危機に瀕している。禁煙の制戒を打ち立てる者があれば、それは仏に代わって皆を教化することになる」(『祖師に学ぶ禁煙の教え』より)とある。

仏教に禁煙を説く戒律はないが、黄檗宗の僧侶・隠元隆琦禅師(1592~1673)はたばこを嫌い、釈尊在世時にたばこがあれば五辛(ニラやニンニクなど)に加えられ六辛になったはずだと説き、卍山禅師や同じく曹洞宗の面山瑞方禅師(1683~1769)は「煙草ハ有害、威儀不如法」「外道ノ抹香」などと批判している。

キリスト教では…メソジスト派は禁煙が基本姿勢

聖書にも禁煙は触れられていない。だが明治期に日本に入ってきたメソジスト派の流れをくむプロテスタント教団(メソジスト派、ホーリネス派、救世軍など)は、禁酒や禁煙が牧師としての基本的な姿勢になっている。

メソジスト派は英国の産業革命などによって都市部に流れた労働者や貧困層に布教し、アルコール依存症の労働者の救済に努めた。現在でも救世軍は会員になる際、酒やたばこ、薬物などを使用しないことを誓約する。樋口和光・救世軍本営文書部長は「人の体は神の宮。たばこは有害であるので当然用いない」と話す。