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仏弟子に国籍は関係ない? 苦労、困難が多い外国人僧侶(1/4ページ)

2017年3月1日付 中外日報(深層ワイド)

近年、寺社を訪れる外国人観光客が増える中で、仏教国以外から真剣に教えを知ろうと来日し、僧侶を志す人々がいる。そうした「外国人僧侶」たちは、日本の仏教の理想と現実のはざまで揺れ動きつつも自らの信心と向き合っている。

情報化社会にあって、外国人でもインターネット等で日本の仏教に関するサークルや教義の情報は得やすくなっており、今後、僧侶を目指す外国人は増えることが予想される。「仏弟子であることに国籍や出身は関係ない」という外国人僧侶の声もあるが、日本人と比べれば苦労や困難ははるかに多い。彼ら外国人は、修行に入る前に日本や仏教についての勉強をしてはいるものの、日本語の難しさや修行中に実感した文化の違いを口をそろえて語る。外国人僧侶の実体験から、きちんと指導してくれる良い師僧と巡り合えるかなど、受け入れ側の課題も浮かび上がる。(佐藤慎太郎)

曹洞宗・ハララン樂禅さん基本知識の不足痛感 米の僧堂手伝いたい

僧堂での立ち居振る舞いも凛々しいハララン樂禅さん

アメリカ・オハイオ州出身のハララン樂禅さん(51)は、曹洞宗大本山永平寺別院長谷寺(東京都港区)の専門僧堂で修行している。プロのトロンボーン奏者としての経歴があり、梵鐘や太鼓、木版といった山内に響く鳴らし物の音に深い畏敬の念と伝統の重さを感じ取っている。

若い頃から坐禅に親しんできたが、50歳を迎えて「もっと本当の意味を深く知りたい」と一念発起。それまで行ってきた1日1時間の坐禅ではなく、禅が生活の全てとなる環境に身を置きたいと、出家を決心した。

直綴を着用し、足には草鞋、頭には網代笠、坐蒲を手に抱えた姿で昨春に上山。「今はもう慣れました」と語るが、修行生活で十数キロも体重を落としたという。

ハラランさんには日本人の妻がおり、十数年間、日本で暮らしてきた。独学で日本語を学習し、日本の文化にも慣れたつもりだったが、「坐禅だけやってきたので、お寺のことは全然知らなかった」と、礼儀や法要についての基本知識の不足を痛感する。約1年たった今でも低頭しなければならない場面でうっかり忘れてしまい、周囲から注意されるという。

英語で読んだ道元の著作の「只管打坐」の教えが心に響いたのが禅の道に入るきっかけだった。「自分の人生は“今、ここ”だけの真実なのだ」と今は理解している。「自分のことを違う立場、角度から見ることができた」と、初めて坐禅に出合った時の感動を忘れていない。

午前3時半に起床し、休憩もなく、共同で行動する僧堂での生活は、個人個人の空間や時間を大切にするアメリカ人からすれば信じられないものだとも思う。ハラランさんは、同寺を訪れた外国人から何を学んだのかを尋ねられた際、「自己中心的な生き方にいかに固執していたかを学びました」と答えた。

今春、下山する予定だが、日本で住職になろうという思いはない。将来、曹洞宗がカリフォルニアで建設中の、海外では初めての専門僧堂「天平山禅堂」の手伝いをしたいとの気持ちを抱いている。

曹洞宗では、二大本山で外国人が修行しようとしても、英語に対応できる専門僧堂を紹介することがある。また、英語が堪能な指導者による短期集中特別安居も定期的に開いている。