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1、若者の悩み 叱られるから相談しない

浄土真宗本願寺派浄誓寺衆徒 日本思春期学会理事古川潤哉

2017.08.11~2017.09.08

  • 1、若者の悩み 叱られるから相談しない
  • 3、親への感謝 家庭環境は様々なのに…
  • 2、多数派の常識 「在るべき論」の恐ろしさ
  • 4、自立とは 依存先をたくさん持つ

ホスピス・緩和ケアボランティアの縁から、HIV/AIDSの予防と知識普及の活動に関わり、思春期・若者の性に関する悩みに触れるご縁ができた。年齢に関係なく誰にでも悩みはある。相談で解決できるもの、どうにもならないもの、吐露することによって整理が付くことなど様々だ。ただ性の悩みは、特に若年層では誰に相談していいのかがわからず、また、あふれる情報の真偽も誰に確認すればいいのかわからない。

性の悩みと言っても様々だ。身体のこと、交際、感染症、望まない妊娠や中絶のこと。性暴力の被害、性的な虐待の経験など。「自分だけ痴漢にあったことがない」という悩みもある。スクールカウンセリングも充実し、公的機関が相談窓口を設置していることも多い。体制がないわけではないし、話し相手や友達がいないわけでもない。しかし、若者への「相談しましょう」の呼び掛けは虚しく響く。

なぜ相談できないか。それは「叱られる」からというのが大きい。どの分野においても「ダメ、絶対」型の予防教育は危険だ。ダメとわかっていてもそういう状況に陥ることがあるのが私という人間。なのに保護者や教師、専門家など、本来困った時に相談すべき相手が、あらかじめ「ダメ、絶対」と断じていては、相談できるはずがない。

正しく理想を伝えるのは大事だ。しかし、万一困ったことになってしまったらどうするか?を伝えることの方が大事だと感じるようになった。

一般的にはお坊さん、宗教者は正しくあるべき存在と見なされている。もちろんその期待に応えるのは大事だが、それだけでは相談相手になり得ない。正しく立派な相手に、失敗したと思っていることを話すのは難しい。理想論や在るべき論、多数派の常識を振りかざして善し悪しを断じ、悩みを打ち明けられずに苦しんでいる人を追い込むことをしてこなかっただろうかと自省する。

頭ごなしに叱責するのではなく、理由を問い詰めるのでもなく、まずは話をきいてくれる、秘密を守ってくれる相談相手として、信頼される大人でありたい。