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1、困窮者支援 間違いなく宗教の本務

東八幡キリスト教会牧師 ホームレス支援全国ネットワーク理事長奥田知志

2018.02.23~2018.03.16

  • 1、困窮者支援 間違いなく宗教の本務
  • 3、救いとは 「共にいる」ことの大切さ
  • 2、助けてと言える自由 人の弱さ前提に社会創造
  • 4、分断を超えて 宗教福祉の基盤づくりを

4回にわたり、現代社会が抱える貧困や格差、生きづらさに対する宗教の役割について考えたい。

まず自己紹介から。ごく普通のサラリーマン家庭に育った私は、中学生でキリスト者となった。大学時代で日本最大の寄せ場(日雇労働者の町)大阪・釜ケ崎と出会う。多くの人が路上で暮らし、路上で亡くなっていた。「神はどこにおられる」。答えのない問いの中で悶々とした。

信仰を捨てることもできたが、その勇気は無かった。意気地なしの私は「こんな悲惨な現実にも拘わらず、神様までおられないのは困る」と考え牧師になった。人間がモノ扱いされ、使い捨てられる理不尽が「神はいてもらわないと困る」という切迫感を生み信仰を必然に変えた。

私は牧師を「神を捜す仕事」と考えている。以来、苦難を生きる人々と神を捜し続けている。時折神の足跡らしきものを見つけては苦しむ人々と共に喜ぶ。1988年以来始まったホームレスや困窮者の支援活動(NPO法人抱樸)は30年目を迎え、路上から脱した人は3千人を超えた。

貧困と格差は深刻だ。97年、貧困ライン(それ以下の収入の人は貧困と見なされる基準)は149万円(年収)だった。現在は122万円。年収が123万円は貧困とは言えない。20年でこの国の収入(賃金)が減っているのだ。多くの若者が不安定な雇用に身を寄せる。その影響か、先進国で若者の死因トップが自殺なのは日本と韓国だけだ。30年間で釜ケ崎の風景が日本中に広がった。そんな中、宗教者はどのような役割を担うのか。

3年前、国はすでに「生活困窮者自立支援制度」をスタートさせた。全国に千余りの相談事業所ができたが、その数はあまりに貧弱。一方、国内の寺院の数は約8万。その他にも数多くの宗教施設が存在する。その1割が困窮者の窓口になれたら国の相談所の10倍程度の社会資源が誕生する。宗教者による困窮者支援のネットワーク、すなわち「宗教福祉プラットホーム」が立ち上がればどれだけの人が助かるだろうか。これは社会活動ではない。間違いなく宗教の本務だと思う。切羽詰まった現実との向き合いが、私たちの信仰(信心)を活性化させる。