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1、「孤独死」「無縁墓」 価値観伴った不当な言葉

葬送ジャーナリスト碑文谷創

2018.04.20~2018.05.18

  • 1、「孤独死」「無縁墓」 価値観伴った不当な言葉
  • 3、人口、地方から都市へ 墓じまいより放置墓深刻
  • 2、超高齢化社会 「死」の観念、大きく変化
  • 4、葬儀儀礼定型化 死者に向き合っているか

東京都監察医務院「世帯分類別異状死統計調査」によると、東京23区内で自宅死亡した単身世帯のうち死後2日目以降に発見された者は、2004年が2148人、08年2630人、12年が3257人、16年には3657人と増加している。

ここから推計するに、全国で死亡時に看取る人がいなかった「ひとり死」は年間約3万人となるだろう。監察医務院は「孤独死」といい、人によっては「孤立死」というが、これは価値観を伴った用語で不当である。

「国民生活基礎調査」によるならば、16年は単独世帯が27%を占めた。若者から高齢者まで4人に1人以上が「ひとり暮らし」。「ひとり暮らし」をよぎなくされる者もいれば選択する者もいる。「ひとり暮らし」の実態はさまざまである。

知人は「ひとり暮らし」の兄を毎月2回訪問していたが、その合間に兄は突然死。妹である知人は「孤独死」という言葉に深く傷ついた。

いずれにしろ生前を知らずして、結果として死亡時に看取る者がいなかった人を、死亡後に第三者が安易に「孤独死」「孤立死」と呼んでいいわけはない。私は価値観なしの用語「単独死」「ひとり死」を用いる。そう言えば「無縁墓」も嫌な言葉である。誰とて縁のない人はいない。たまたま子がいなく墓の跡を継ぐ血縁者がいない、というだけのことである。

16年の合計特殊出生率は1・44、少子化傾向は続く。生涯未婚率(50歳時の未婚率)は男性23%、女性14%(15年)と非婚化は進む。離婚数は婚姻数の約3分の1。

結婚する、一生添い遂げる、子どもがいる、家族が一緒に住む、病者を看護する、高齢者や障がい者を介護する――のが当たり前とは言えない時代となった。「ひとり」という生き方をすべてが選択したわけではないが、実態は多様で個別の事情はさまざまで異なる。

寺はすべての人と縁を結ぶ存在だろう。それであるならば、せめて寺から「孤独死」「無縁墓」という言葉を追放したいものだが……。