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1、超高齢化社会 老いに向き合う教団宗教

認定臨床宗教師 日蓮宗實相寺院首井出存祐

2019.01.25~2019.02.22

  • 1、超高齢化社会 老いに向き合う教団宗教
  • 3、仏教会 宗派超え課題検討を
  • 2、地方寺院 宗門は実情知り対策を
  • 4、旧弊 取り残される伝統仏教

すでに超高齢化社会になった。大きな社会問題ともいわれ、信仰の継承は伝統教団ばかりではなく、創設期から長い年月を経た新宗教も直面している。高齢化と信仰ないし宗教への接近の相関は宗教意識調査の定説であるが、宗教的経験については研究が進んでいない。これに宗門が取り組めば、高齢化も宗教性を高める契機になりうるはずだ。

たとえば日蓮宗では4年ごとに行っている宗勢調査がある。2012年の調査で教師数を年齢別に見ると60歳代が30.2%。60、70、80歳代を合算すると、50.9%と半数を超える。前々回の調査では41.2%、前回は43.6%で、僧侶も高齢化が進んでいるのは明白だ。

現在60代後半となった団塊世代は、戦中戦後の厳しい時代を生きた両親に育てられた。この世代の僧侶は兼職、兼業しても貧乏寺を継承した。「道心の中に衣食あり、衣食の中に道心なし」という気概があった。地域の人々も救いの手を差し伸べた。

今は地域のつながりが少なくなり、次のベビーブームに生まれた世代(40歳前後)には、自ら率先して信徒の信仰問題、信仰相談と向き合い、布教伝道していこうという自覚が薄い。信徒は教理よりも宗教指導者にひかれるのであって、僧侶の「人間力」向上は喫緊の課題だ。

一方で大都市と地方の格差が広がっており、地方の休眠法人増加の流れはますます広がるであろう。特に東北では東日本大震災によって多くの寺院、神社、教会等が損害を被ったわけだが、政教分離の原則で行政の支援が得にくく復興は難しいというところも多い。

また墓の継承は至急に対処しなければならない問題だ。今「あなたの家の宗教は何ですか?」と聞かれて明確に答えられる日本人はどのくらいいるだろうか。宗教が家庭から個人のものへと移行し、檀家制度は近い将来大きく崩れることになる。

このように宗教界を取り巻く諸課題は深刻さを増している。にもかかわらず、伝統宗教教団は巨大化しすぎた感があり、明確な指導方針が打ち出されないことこそ最大の問題である。