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第14回涙骨賞

実践部門 おてらおやつクラブ(松島靖朗代表)

論文部門・奨励賞 三木悟氏「『現世往生』という迷い」

         廣田拓氏「偶然における信仰から無常における信仰へ」

<選評>

おてらおやつクラブ山折哲雄

涙骨賞「実践部門」は「おてらおやつクラブ」の活動に決まりました。お寺には日常的にさまざまな「おそなえ」が上がりますが、その「おさがり」を恵まれない貧しい子供たちのために有効活用しようという発想の下に生まれた運動でした。「おすそわけ」という「おもいやり」の活動といっていいでしょう。日本は世界でも有数の「残飯率の高い」国といわれ、また「寺院消滅」の危機的状況にあるともいわれています。この「クラブ」の活動がさらに大きな輪を広げ、寺院関係者をはげます契機になることを心から願っています。


「『現世往生』という迷い」末木文美士

小谷信千代氏による問題提起で、真宗大谷派内では現世往生論をめぐる議論が盛んになり、『中外日報』紙上でも両方の立場から意見が出されている。近代仏教とは何だったのか、死と来世をどう考えるべきかなど、宗派を超えた大きな問題が含まれている。しかし、ともすれば宗門内に閉じられた教義解釈論に終始し、必ずしもオープンな論争として、広い立場からその意味が議論されているとは言い難い。

その中にあって、本稿は門外者にも分かりやすく論点を整理し、今後の議論のための基礎を提供しようとしている点が評価される。また、「相伝義書」という本覚思想系の相伝書の再検討など、注目される成果をあげている。しかし、はじめから論争の一方に立って他方を否定する二者択一的な立場を超えられていない。また、親鸞の思想解釈に当って、聖道門対浄土門という従来のステレオタイプの教学を踏襲していて、陳腐である。よって、最優秀賞には及ばないが、奨励賞としてその意欲と努力を評価することにした。


「偶然における信仰から無常における信仰へ」島薗進

廣田拓氏の論考は、短い紙数のうちに古今東西の多くの宗教者や思想家の「信仰」の境地を説明、比較しようとしている。生の無意味性を自覚させる事態を西洋では「偶然」、日本では「無常」にあるとし、ベルクソン、ティリッヒ、メイヤスー、鴨長明、吉田兼好、親鸞などを参照しながら、詩人・石原吉郎の「断念」による信仰に納得できる境地を見ようとしている。どの論点も簡潔すぎて説得力ありとは言えないが、求めるところは理解でき、今後に期待し、奨励賞にふさわしいと判断した。

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