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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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『今日は泣いて、明日は笑いなさい』秋田光彦著・KADOKAWA刊

今日は泣いて、明日は笑いなさい

「人の思いが集まる場所」としての寺の在り方を模索し続ける大阪市天王寺区の秋田光彦・浄土宗大蓮寺住職によるエッセー集だ。

秋田住職が立ち会ってきた出来事や、寺に集う人々の感情がすくい取られ、46の短い物語にまとめられた。

「昔ながらの檀那寺」としての大蓮寺の境内にはパドマ幼稚園があり、すぐそばには若者たちが情熱を傾ける演劇やワークショップなどが開かれる塔頭應典院がある。大蓮寺は、まさに老若男女が行き交い、さまざまな思いが交錯する場所となっている。

本書には、檀家、園児の母親、ホームレスの生活支援に当たる僧侶、36歳の宮大工などが登場する。

訪れる人を語ることは、今の日本を語ることでもある。葬儀の形や貧困問題、さらには東日本大震災の支援の在り方にも触れられる。

大蓮寺に引き寄せられてやって来る人々に、そっと寄り添う秋田住職。「心から共感したり、うーんと唸ったり、しみじみと切なかったり」とさまざまな思いを抱きつつ、僧侶は「道を説く人ではなく、道に寄り添う人」だと語る。

「よろこびも悲しみも含めて、人生は儚くも、すばらしい。そういうところにかかわれる『まち寺』でありたい」という秋田住職の思いが伝わってくる一冊となっている。

定価1050円、KADOKAWA(電話03・3238・8521)刊。