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『金澤翔子、涙の般若心経』金澤泰子著・世界文化社刊

金澤翔子、涙の般若心経

ダウン症の書家で大河ドラマ「平清盛」の題字を書くなど、活躍を続ける金澤翔子さん。当初、母子で死ぬことばかりを考え、葛藤の日々を過ごしたという母親の泰子さんが翔子さんとの28年の歩みを振り返る。

書名は翔子さんが10歳の時に書いた般若心経に由来する。翔子さんには5歳から書道を教えたが、普通学級進級を断られ、翔子さんの存在を否定されたと感じたことをきっかけに、自身が若いころから唱えた般若心経の大作に取り組ませる。時に涙を流し、3カ月以上かけて集中し、作品を完成させた経験は、翔子さんが本格的に書に取り組む契機となり、出来上がった作品は「すごみがある」と今も人を感動させる人気作となった。カラー口絵に他作品と共に収録する。

泰子さんは自身の亡き後も考え、自立を願い、料理や掃除も幼時から教えたが、勝ち負けと無縁の世界で無心に生きる翔子さんの心のありように多くのことを学んだという。例えば、翔子さんは席上揮毫を見守る観客の中、赤ちゃんが泣きだすと「応援ありがとう」と一声掛け、緊張した場を和ませた。電車内などで泣く赤ちゃんに乗客の舌打ちが聞こえるようなわれわれの心の在り方を自然と省みさせられる。

定価1260円、世界文化社(電話03・3262・5115)刊。