親しみ持たれる寺に
真言宗豊山派大本山護国寺 小林大康貫首(78)

昨年10月に死去した岡本永司・第53世貫首の後継として1月24日に就任した。小林良弘・第52世貫首の長男で、護国寺には大正大卒業後の1963年から奉職し、3代の貫首に仕えた。93年から岡本前貫首の下、執事長を務め支えた。
徳川5代将軍綱吉によって建立された護国寺は重要文化財・観音堂(本堂)が関東大震災、太平洋戦争などの災害を免れ江戸の面影を伝える。
執事長として文化財護持に力を入れ、重文・月光殿の改修工事の際は防火施設をドレンジャーから放水塔に改めるなど、「文化財を後世に残すための努力は人一倍しているつもりです」と自負する。
大正時代以降は茶道本山として知られ、岡本前貫首時代にはダライ・ラマ14世との交流でチベットとの縁が深まるなど、様々な面を持つ護国寺。その歴史を継承し、岡本前貫首時代と同様に「自由にお参りしていただきたい。茶室を皆さんに使ってもらっているのも続けたい」と語る。
十数年前から檀信徒と共に四国巡礼を続け、四国八十八ヶ所大先達となった。檀信徒に問われると「同行二人で御大師様の力を頂き、心豊かになりますよ」と答えている。四国遍路でお接待など地域の人との触れ合いを温かく感じ、護国寺も「親しみを持たれるお寺にしたい」と願う。
書道素心会同人で、護国寺の節分会では福升へ寿などの文字を浄書して長年、腕を振るう。近く竣工する護国寺別院大御堂(茨城県つくば市)では般若心経と真言の襖書きを手掛けた。
貫首晋山式は11月17日に行われる。
(山縣淳)