熱烈な願心ある人を
臨済宗南禅寺派 田中寛洲管長(72)

第13代管長に1日付で就任した。「引き受けた以上は心を込め一生懸命に取り組みたい」。自坊の南禅寺境外塔頭光雲寺は南禅寺禅センターの役割を担い、修学旅行生らの坐禅研修が年間1万数千人に及ぶ。定例の第2、4日曜の坐禅会は30年、毎週土曜の坐禅会は10年継続中(現在は新型コロナウイルス感染防止で休会)。その指導を続けながら「再修行」の思いで管長を引き受けた。
大阪市内の在家出身。京都大でドイツ哲学を専攻し、大学院博士課程の25歳の時に山田無文老師のもとで神戸・祥福僧堂の大接心に参加した。京都・長岡禅塾で森本省念老師に弟(故田中芳州・相国僧堂師家)ともども薫陶を受け、28歳の時に妙心寺塔頭で得度。妙心僧堂を経て建長僧堂、建仁僧堂に在錫し、湊素堂老師に約7年師事した。
得度の師夫妻を看護した後、相国僧堂の梶谷宗忍老師に通参して嗣法。その間にも岡山・曹源寺で修行中、「咳をしている自分が無い」と気付き、今まで経験したことがない深い禅定に入った。40歳を少し過ぎた頃だった。
近年は雲水の人数が減少し、在錫年数も短くなっているが、「それは工夫の醍醐味、三昧境の喜びを知らないから」。自らの体験を坐禅会でも、光雲寺ホームページの月刊コラムでも公開しているのは、それを若い人々に知ってもらいたいから。
「真剣な工夫をすれば誰でも必ず三昧境に入れる。逆に真剣味がないと何年たっても駄目。禅の根源を極めようという熱烈な願心がある人が出てほしいし、そういう人を何とかして打ち出したい」
(萩原典吉)