ブラジル経験を糧に
全国浄土宗青年会第26期理事長 松野瑞光氏(40)

4月1日に全国浄土宗青年会の理事長に就任した。長崎県川棚町にある法源寺に生まれ、大正大で浄土学を学んだ後、2004~10年に開教師としてブラジル(浄土宗南米開教区)に滞在した。
大学卒業後は進学や自坊へ戻る選択肢もあったが「10年後に後悔しないような経験がしたい」と、あえて最も遠く、縁がないブラジルに身を置こうと決心した。
しかし当初は言語の壁に突き当たり「これまでの自分は日本語によって出来ていたと気付いた。言葉で表現することができない環境下では、自分は何者でもないのだと痛感させられた」。
滞在中は法務のほかにも、マリンガ日伯寺併設の日系人のための養老施設、和順ホームへの寄付を募る活動も行った。資金だけでなく卵やジャガイモなどを受け取ることもあり、図らずもいろいろな人と話す機会を得た。さらには会報作成のための広告収集、印刷所とのやりとりも担った。
「言葉が通じない場所で、何とか自分にできることを身に付けるしかないと努めたことや、多くの人たちと関わったことは間違いなく自分の宝になっていると思う」。
帰国後もブラジルと縁は途切れておらず、18年にクリチバの日伯寺で五重相伝が開かれた際、現地に赴いた。その時の檀信徒の喜びの声は深く心に残っているという。
国際教化の視点からもブラジルをはじめ海外開教区について多くの人に知ってもらいたいという思いがある。全浄青理事長として、ポルトガル語で念仏の教えを広める取り組みや、有志で南米全4カ所の開教寺院を回る研修を構想している。
(奥岡沙英子)