信仰培養強化に全力
天台宗 阿部昌宏宗務総長(73)

天台宗の4人の祖師を鑽仰する「祖師先徳鑽仰大法会」(2012~23年)の枠組みを決めた阿内局で財務部長、木ノ下内局では総務部長として制度立案企画に関与し、大法会の掉尾を飾る今年6月の伝教大師大遠忌御祥当法要では大導師を勤める巡り合わせとなった。コロナ禍の状況が気掛かりだが「どんなことがあろうと、規模を縮小してでも厳粛に円成させる」と意気込む。
宗議会議員になった06(平成18)年に1年生議員の勉強会「一八会」で宗務総長経験者の講演を開くなどの活動を通じて人脈を広げ、阿純孝宗務総長の就任時に内局入りを果たした。
元々、僧侶になる気はなかった。高専卒業後、電線ケーブルメーカーに就職し、離島に飲料水を輸送する海底送水管の開発などに携わったが、兄の死去で27歳の時に得度。比叡山行院での修行に臨んだ。自坊・觀音院は戦災に遭い、復興を目指して31歳で僧侶に専念。総本山比叡山延暦寺での駐在布教で自己研鑽した。
常に自らは下足番と承仕の役割を果たすことが大切であるとの信念から地道に勉強を続け、教区行事や仏青活動を通じて檀信徒教化や寺院運営を学んだ。1990年には自坊を復興し、「揺り籠から墓場まで」の老若男女の参拝者が集う寺になった。部長時代も「自分が総長のつもりで責任を持って事に当たる」との考えで職務を全うした。
宗務総長として今後は「大遠忌を通じた祖師の教えの継承や教師の研修制度拡充、檀信徒の一隅を照らす運動を通じた信仰培養の強化に取り組む」としている。
(須藤久貴)