ピンチをチャンスに
佛教大 伊藤真宏次期学長(56)

4月に佛教大の学長に就任する。昨年、仏教学部長に就いた直後で、自身も驚いたという。学長就任後には四条センターを紫野キャンパスへ機能移転し、OLC(オープン・ラーニング・センター)を開設予定。任期中の2022年には教育学部幼児教育学科の設置が計画されている。
「四条センターや通信教育課程で学ぶ一般の方々は強い向学心がある。通学の若い学生らと接点を持ってもらい、いい影響を及ぼし合う環境をつくりたい」と意気込む。
佛教大は1984年から一般向け講座を開いている。大学の知的資産を社会に還元してきた生涯教育と通信教育の先駆けだ。「これまでの積み重ねを進化させ、対面とオンライン双方の利点を生かして運用する。宗派とも一層連携し教師育成にも協力したい」と話す。
同大大学院博士後期課程で仏教学を専攻。七五調で仏、菩薩を賛嘆する和讃の研究を重ねた。実家の浄土宗法巖寺(兵庫県伊丹市)では父が月に1度念仏の会を開き、多くの人が集まった。御詠歌も和讃も身近だった。
高校時代、障がいがある妹を持つ親友に「宗教は信じられない」と言われショックを受けた。親友も家族も、伝統仏教には救われなかったという。一方でお念仏を喜ぶ人がいた。違いは何か。僧侶にはなりたくないと思うこともあったが、深く仏教を勉強する必要性を感じた経験だった。
新型コロナウイルスの感染拡大や学齢人口減、自然災害等が相次ぐ時代のかじ取りは困難も待ち受けるとしながら「“素人の目線”で厳しい中にピンチをチャンスに変える発想を持ちたい」と語る。
(磯部五月)