思い切った財政改革を
真宗佛光寺派 八木浄顕・次期宗務総長(70)

2013年から佐々木内局で総務を務め、16日の宗務総長選挙で当選した。4月16日に宗務総長に就任する。
最大の目標は23年の慶讃法会の円成で、法会に向けて同月24日に始まる渋谷真覚門主の巡教が宗務総長としての初仕事となる。「できるだけ多くの寺院に喜びを持って伺いたい」と意気込む。
懸案の財政改革については「思い切った改革には痛みを伴うかもしれないが、宗派の将来を考えると着手しなくてはならない時期に来ている」との認識を示した。
滋賀県米原市の宗門寺院出身で、結婚を機に25歳で現在の自坊である兵庫県姫路市の仏性寺に入寺した。声明の指導者として知られた真照第29代門主に師事して式務畑を歩む一方、自坊では日曜学校やボーイスカウトなど児童教化活動に長年取り組んできた。
地域住民との交流にも積極的で、明治生まれの人に地元の昔話を聞く「明治会」を立ち上げたこともある。「家で子どもに昔話をすると嫌がられることが多いが、お寺だと熱心に聴く人が多く、話を3~4冊の本にまとめることができた」と振り返り、様々な世代が共に集う大切さを指摘する。そうした経験も踏まえ、本山佛光寺を会場に地域の小学生や高齢者が食事を共にしながら触れ合う行事も検討中だ。
趣味は数珠作り。棕櫚やフェニックス、クルミなどの実の採取からひも通しまで全て自分で行う腕前で、宗内の講習会で講師を務めることもある。「数珠は手に触れると表面の渋が取れるからなのか、持てば持つほどなじんでものすごく良くなるんです」とほほ笑む。(池田圭)