まず御誕生法会円成を
高野山真言宗 今川泰伸宗務総長(60)
今年7月、高野山真言宗初の選挙戦を制して宗務総長と総本山金剛峯寺執行長に就任した。秋季宗会を終えて、内局各部も本格的に始動。2023年に迎える宗祖の御誕生法会に取り組むほか、13年後の弘法大師御入定1200年御遠忌も見据える。「まずは御誕生法会の円成を目指す。宗祖大師のご功績に報いたい」と意気込む。
着任してすぐに兼務の多かった部課を見直し、体制を整えた。教学部は次長職を2人体制にした。御誕生法会と同年に迎える北米開教110周年の準備も進める。
宗団で初めてSDGs(持続可能な開発目標)の啓発にも取り組む。奥之院への献木事業が進んでいるのは「寄付者が高野山の護持や、尊厳を保つことに寄与していると実感が得られている」と分析する。
「宗務所と本山に勤める皆が参拝に来られた信心の方々に奉仕するのを喜びとし、同じく信仰の心を持って接してほしい」と話す。職場環境の改善を目指し宗務所内の職員休憩所を改装中だ。
高野山大在籍中と、専修学院で書記を務めた1年間を本山で過ごし、自坊に戻った。自坊は多くのお遍路さんが参拝に訪れる四国八十八ヶ所霊場の第23番札所・薬王寺(徳島県美波町)。自坊の伽藍護持に邁進してきたほか、宗門では徳島支所副長を経て宗会議員を4期務め、60歳ながらベテランの域に。立場は逆転したが議員の経験を宗務に生かしたい考えだ。
学園興隆や金剛峯寺新別殿での駐在布教の再開など、大小様々な課題が待ち受けるとしながらも「優先順位をつけて事業を進める努力をしたい」と話す。
(磯部五月)