「鍋底」として範示す
大本 小林龍雄本部長(64)

経済産業省の中小企業庁や特許庁で勤めた元国家公務員。昨年8月に本部長(代表役員)に就任した。信仰継承や後継者育成に向けて若者に活躍の場を広げ、子育て世代の支援や世代別組織の連携強化に注力している。
信仰1世。29歳で結婚した妻が信者だったことが、入信するきっかけとなった。妻に誘われて参加した祭典で出会った信徒たちの人間性に引き込まれたことが決め手だったという。
それまで新潟県柏崎市の実家の宗旨が曹洞宗ということ以外は宗教とは無縁。しれつな競争社会でもある霞が関で日夜働き詰めの日々を送る中、大本信仰者の持つ明るい雰囲気と、優しく思いやりに満ちた心に触れた経験は新鮮な驚きだった。
国家公務員時代、出勤する途上で役所のビルを見上げては、いつも自らに言い聞かせた。「自分たちは高いビルから国民を見下ろすのではなく、鍋底の気持ちで仕事をしなくてはならない」
鍋の具材が国民だとしたら、公務員は一番熱い火を受ける「鍋底」として国民を守り、その生活を豊かにしていく存在なのだとの自戒が込められていた。そう思えるようになったのも信仰の支えがあったからだと感謝の思いを口にする。
「幾多のつらい、苦しい場面で、信仰があったが故に救われた。だから教団に対して、いつかはお手伝いできることがあればさせていただきたいとの思いがあった」
本部長就任後も「鍋底」の精神は変わらない。「一人一人が互いに敬い合い、助け合うという理想の世界を大本から『よき型』(模範)として世に示させていただきたい」
(岩本浩太郎)