人との出会い大事に
天台宗三千院門跡 小堀光實門主(68)

昨年11月に京都市左京区大原の三千院門跡門主に就任した。先々代の小堀光詮・第61世門主と親子2代での門主就任となる。「人と人との出会いを大事にして、三千院を訪れる人がまた来たいと思っていただけるようなお寺にしたい」と意気込む。
誰にでもニコニコと気さくに話し掛ける性格は誰からも愛されている。見識の深さと相手への心遣いは、大きな人間的な魅力となっている。
少年時代に、自坊に参詣に来た年配の人が父を「先生」と慕っている姿を見て育ち、自ずと僧侶を志した。大正大を卒業後、三年籠山行を経て延暦寺一山寂光院住職となり、比叡山行院の指導員を務めた。「僧侶になるため修行する若い坊さんの卵と出会い、指導する縁を持ったことは財産になった」と語る。
延暦寺財務部に移り、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の仕事に関わった。「天台宗以外の外の世界を知り、宗教の垣根を越えて世の中をよくしていく活動に刺激を受けた」といい、経験や人脈が同寺執行としての仕事に役立った。
執行時代の6年間は、国宝根本中堂大改修や伝教大師1200年大遠忌の準備を進めるなど手腕を発揮した。
三千院では毎年5月に営まれる最重要の法要「御懺法講」の奉修が、2020年、21年と2年連続で無参詣となった。今年は新型コロナウイルスの感染状況を見ながら「桟敷を設けて随喜していただける形にしたい」とし、「天台声明の作法にのっとり、皆さんに心を寄せていただけるような声明の唱え方を大切にしていきたい」と強調する。
(須藤久貴)