将来像描き750遠忌へ
日蓮宗 田中恵紳宗務総長(61)
昨年12月に就任。宗門のグランドデザインをまとめ将来像を展望しながら、2031年に迎える宗祖750遠忌への方向性を定めていく。
前任の中川法政宗務総長は「強い日蓮宗」を掲げ、強烈な個性で宗務運営に当たった。「調整型ですか」との質問に「意識してなかったが、どちらかといえばそうかも。皆の意見を聞き最大公約数を取る方だろう」と、穏やかに自己分析する。「強い日蓮宗」を目指す姿勢は引き継ぐ。「強いとは、打たれ強くしぶとい強靭さだと捉えている。たとえ寺院数が減ることがあっても持続可能な宗門にしたい」
現在の宗門は、宗祖降誕、立教開宗、宗祖遠忌の三大会ごとに事業を進めている。宗会議員を3期12年務め、宗門の長期総合計画を作成するよう求めてきた。「30年、50年後の宗門がどのようになっているか、データを基に描き出し、希望や期待も含めて目指すべき姿に向け、日々の布教を進めていきたい」。グランドデザイン完成には2年程度を見込む。
最大の課題は宗祖750遠忌の準備だ。「これまでは事業計画が先にあり、特別賦課金で経費を確保してきたが、今後は難しいだろう。まず予算規模を定め、その範囲内でできる事業を考えていく」。また「信仰の発信は祖山からすべきだと思う。総本山身延山久遠寺と宗務院が一体となって布教活動をしていければ」と望む。
座右の銘は「鐘中に響あれど打たずんば鳴せず、心中に仏心あれど行ざれば証せず」。どんなにいい計画を持っていても行動しなければ意味がない、と気を引き締めている。
(有吉英治)