双方向で支え合いを
真言宗御室派 大林實温宗務総長(64)
吉田前内局の任期満了に伴い3月17日、宗務総長に就任した。小豆島八十八ヶ所霊場の第8番札所・常光寺(香川県小豆島町)住職。「本山と所属寺院が双方向で支え合う関係を」と話す。
小豆島で育ち、早稲田大大学院文学研究科博士課程を修了し、教員免許も取得した。
卒業後は自坊の法務を行いながら、香川の大学で週に1度教員を務め、歴史学を教えていた。教室での座学だけではなく、フィールドワークで小豆島八十八ヶ所霊場のお参りに行くなど「遍路学」を自ら作り、宗教教育ではなく僧侶として手を合わせることの意義などを伝えた。
学生のリポートで「普段の勉強では理屈でなぜか、と疑問を持つことが多いが、お遍路で手を合わせることで、理屈ではない喜びを感じることができた」との意見があり「この学生からの感想は今でも忘れられない。改めて仏教の本質と向き合う機会をもらえた」と話す。
本山に関わる前は、本山が何をしているか見えにくく、遠い存在に感じていたという。
その後、制度審議委員会を4期、本山宗派諸問題検討委員会、宗会議員を3期務め議長に就任するなど、本山と所属寺院のあるべき関係を真剣に考えるようになった。
「宗派の動きを今まで以上に伝えていき、所属寺院との関係性をより深いものにしていきたい。所属寺院の皆さまから支えてもらっていることが多いが、本山からも双方向に支え合うことができるよう働き掛け、所属寺院との関係性を近いものにしたい」と意気込みを述べた。
(日野早紀子)