仏教的知恵を学んで
立正大 寺尾英智学長(64)
4月1日に第35代学長に就任した。仏教学部からの選出は渡邊寳陽・第25代学長以来、四半世紀ぶり。今年開校150周年の節目を迎え、200年に向けた発展の基礎づくりに注力していく。任期は3年。
就任1カ月余。「学長になったら大変だろうと思っていたけれど、実際になって様子が分かってきて、本当に大変だと思う」と苦笑する。連日様々な会議があり、思うように史料調査に行けないのが何よりつらい。
専門は日蓮宗史。日蓮宗宗宝霊跡審議会のほか、東京都品川区や千葉県市川市の文化財保護審議会委員も歴任してきた。千葉県内の寺院の生まれで、高校1年の時に師父が亡くなった。長男として責任を感じながら大学院に進み、気が付けば研究者になっていた。学長就任も「1年前まで考えもしなかった」。
立正大は学生約1万人の大規模校。宗門校という意識を持たずに入学する学生も少なくない。「どの学部でも知識を身に付けるだけでなく、根底にある仏教的な知恵を学んでほしい。なぜそれが正しいのかと疑問を持ち、自分で調べ考え、納得して動ける人になってもらいたい」
150周年記念事業は仕上げの段階。視線はその先に向いている。「大学は常に変わり続けている。何がベストかは時間がたってみなければ分からないが、学生が卒業してから『立正大で学んでよかった』、教職員は『勤めてよかった』と、後に振り返って思えるような大学にしたい」。9学部それぞれの視点と力を結集し「オール立正」で歴史に恥じない学びの環境をつくっていく。
(有吉英治)