宗祖750遠忌へ道筋
日蓮宗大本山池上本門寺 木内隆志執事長(62)

4月1日に就任してから3カ月。9年後の2031年に迫った日蓮聖人750遠忌に向け、基本方針を定め道筋を固める準備に取り掛かっている。任期は3年間。
池上本門寺は宗祖入滅の霊場。山内寺院や檀信徒はもちろん、宗門、総本山身延山久遠寺、地元の商店会などと手を携えながら盛り上げていきたい考えだ。まずは早急に遠忌事務局の準備会を立ち上げる。
昨年から再建工事が始まった清正公堂、建立から半世紀がたった境内伽藍の改修など、なすべきことは多い。「遠忌事業案には夢を入れられるだけ入れる。そうしておけば、もし今回できなくても次の機会につなげられる」
東京・谷中の長明寺に生まれた。留学する檀家の子に誘われ、高校・大学はアメリカで過ごした。英語が得意だったわけではなく、飛行機で「コカコーラを下さい」と言ったらトマトジュースが出てきたことを覚えている。「遠く親元を離れ、親のありがたさを痛感した」と話し、同寺で修行中の青年僧を優しいまなざしで見守る。
昨年まで日蓮宗宗務院の宗務総長室長として、中川法政宗務総長を支えた。本門寺では菅野日彰貫首の右腕となれるよう心掛ける。「貫首の思いを実現するのが山務員の役目。皆で話し合いながら、納得してもらえるように進めたい」
貫首不在時には朝勤の導師を勤める。「お祖師様に真正面から向き合うと、『勉強しろよ』と言われている気がする」。宗祖入滅地の歴史に恥じぬよう、一つ一つの仕事に丁寧に取り組む覚悟だ。
(有吉英治)