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人工知能(AI)との共存共栄を考える情報工学者 長尾真さん(82)

ほっとインタビュー2019年9月19日 09時06分
人工知能(AI)との共存共栄を考える情報工学者 長尾真さん ながお・まこと氏=1936年、三重県生まれ。京都大工学部電子工学科卒、同大大学院工学研究科修了(工学博士)。専門はコンピューターによる自動翻訳・画像処理、パターン認識。同大工学部助手、講師、助教授を経て73年、教授。97~2003年、京都大総長。退任後、独立行政法人情報通信研究機構理事長や国立国会図書館長、国際高等研究所所長を歴任。18年、文化勲章を受章。著書に『人工知能と人間』『情報を読む力、学問する心』など多数。京都市左京区在住。

人間の知的能力をコンピューターで実現する技術、人工知能(AI)への関心が高まっている。自ら学習し、自律的に状況判断ができるまで発達したAIは、人間の力を超えて人間を支配する脅威になるのではないか。そんな不安の声もある。

「AIはあくまで人間が作った道具。最後の判断は人間が責任を負わねばなりません」。コンピューター開発初期から自動翻訳や画像認識の研究に携わり京都大総長も務めた情報工学者は、AIとの共存共栄には宗教が重要な役割を果たすべきだと説く。

士竪俊一郎

人工知能(AI)の発達は目覚ましく、将棋や囲碁では人間を打ち負かすまでになりました。

長尾 1950年代に米国で開発されたコンピューターは、80年代に脳神経の学習モデルや知識の蓄積、コンピューター・ネットワークの開発などで著しく発展。2000年代に入って学習プログラムの抜本的進歩(ディープラーニング)やビッグデータ利用が実現して、AIが実用の時代になりました。

AIは論理や知識の世界では相当優れたことができます。目的が明確に与えられれば、学習によって人間以上に目的を達成する可能性がある。例えば、囲碁や将棋などのゲームではAIの方が効率よく、人間が覚えられないような網羅的なことができる。人間は名人といえども(妙手を)うっかり見落とすことがありますが、AIは見逃すことがない。なので、人間は負けてしまう。論理・知識の領域の仕事でAIと勝負するのはやめた方がいいですね。現時点でAIに任せた方がよいのは、人間の心に関係しない仕事か、創造的でない定型的な仕事になるでしょう。

便利になる一方で戦闘ロボットや無人攻撃機などAIの軍事利用も進んでいます。心配はありませんか。

長尾 確かにAI兵器は目標を定めたら、ためらいや迷いなく攻撃するでしょう。兵器開発は米国やロシアなどが一方的にどんどん進めていますね。国連などで国際的にAI兵器の規制をしっかり議論しないとむちゃくちゃになる。残念ながら今のところ議論はほとんど骨抜きになっているみたいですけれど。

AI開発には次のような義務、制約を課すべきだと思います。人間性を尊重し、人間を支配する可能性を排除する▽人間が危険だと感じることをさせない▽社会的格差を助長する原因にならないよう配慮する▽紛争や戦争への利用を禁止する――など。これらを社会全体のコンセンサスとし、こうした義務・制約…

つづきは2019年9月11日号をご覧ください

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