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独自の感性で現代社会を描く作家 田口ランディさん(60)

ほっとインタビュー2019年11月25日 09時30分
独自の感性で現代社会を描く作家 田口ランディさん たぐち・らんでぃさん=1959年、東京生まれ。作家。2000年、『コンセント』でデビュー。原発や水俣病などの社会問題、精神世界、宗教をテーマに幅広い執筆活動を行う。『アンテナ』『モザイク』『逆さに吊るされた男』など著書多数。

人はそれぞれ異なる感性を持つ。それを丁寧に言語化していくことで、多くの読者を引き込む小説、エッセーを手掛ける。

酒で暴れる父親、不慮の死を遂げた兄、阪神・淡路大震災で見た人間の矛盾など、生と死の現場が作品の題材になることも多い。

近年は、オウム真理教事件の林泰男・元死刑囚との唯一の外部交流者として、死刑執行直前まで拘置所に通った。14年間の交流を通じて、司法の根幹が抱える死刑制度の矛盾に直面した。

赤坂史人

宗教や精神世界に関する小説や作品が多いようですが、原点は。

田口 父親が酒乱だったことが大きいと思います。子どもの頃、お酒を飲むと豹変する父親を見て、「さっきの父と今の父は何が違うんだろう」と思っていました。人間の心を知りたいと思って、たくさん本を読みました。精神の病があることを知り、どうして認知の仕方が変わるのか、どうして幻覚が見えたりするのだろうかと。本当に不思議で、心の謎を知りたくてたまらなかった。

デビュー作は亡くなったお兄さんを題材にされていますね。

田口 中学時代から兄の家庭内暴力が始まりました。高校卒業後に就職したけれど、転職を繰り返して、やがて引きこもりの状態になっていった。30代の後半から本当に精神的に追い詰められた感じになり、父とのトラブルが絶えなかったです。私は家を出ていたけど、二人が激しく殴り合って実家に警察が来たり。

その後、兄は地下鉄サリン事件、阪神・淡路大震災があった1995年の8月、アパートの一室で腐乱死体として発見されました。引きこもったまま餓死をするという死に方に衝撃を受けました。バブルがはじけた頃ですし。当時、自分が何にショックを受けているのか言語化できずに、もやっとしてました。5年後、ようやくデビュー作の『コンセント』で、兄の死を消化したと思います。

阪神・淡路大震災ではボランティアを?

田口 震災6日目くらいに三宮(神戸市)へ。街が瓦解していました。父と兄が暴れて家のガラスや物が壊れたりするのを見て育ったので、子どもの頃の記憶と重なりました。自分の意思とは関係なく、日常生活がぐちゃぐちゃになってしまう不条理を、私は知っていると思いました。

家財道具が飛び出した内臓みたいに、辺りにべろんとむき出しになって、家の前に「じろじろ見るな」「写真を撮るな!」という紙が張ってあるんです。そういう家の前で記念写真を撮っている人た…

つづきは2019年11月13日号をご覧ください

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