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「我ならざる我」の境地を目指す武術研究家 甲野善紀さん(70)

ほっとインタビュー2019年12月23日 11時15分
「我ならざる我」の境地を目指す武術研究家 甲野善紀さん こうの・よしのりさん=1949年、東京都生まれ。武術研究家。78年、松聲館道場を建て独自の技法と理論の研究、稽古の指導をしている。講座や書籍で発表し、現在では武道だけでなく、スポーツや介護、教育など幅広い分野から注目が集まっている。

様々な武道・武術を学び、古伝書をひもとき、自ら技・術理を研究・構築し続ける。活動の背景にあるのは、経済や宗教への関心から生まれた「人間にとっての自然とは何か」という疑問に対する探求心だ。

頭で考えるのではなく、体に本来宿っている知恵が表れたとき、無我の境地とも呼べる「我ならざる我」による業が出せるのだと言う。70歳になり、自らもその境地を体験した。

武術という体感を通して宗教の説く世界を模索する。

甲田貴之

武術の道に進んだ経緯は。

甲野 幼い頃は大変な人見知りで、買い物のときなど、店で母から預かったメモを見せて代金を渡し、品物を受け取って逃げ帰るような子どもでした。ただ、動物や野山の自然が好きで、将来は自然豊かな南米で牧畜がしたいと漠然と思っていました。

そのため大学も東京農大の畜産科に入ったのですが、そこで私の希望は単なる甘い夢だったことを思い知らされました。経済性最優先の畜産現場では動物はただの物でしかなかったからです。決定的だったのは大学2年の夏休みに実習で訪れた農場で、将来的に産卵しないため捨てられる雄ひなが、ポリ容器に次々と放り込まれていく光景を目撃した時です。容器がいっぱいになっても、足で踏みつけ詰め込まれる雄ひながピーピーと鳴いていた声は、今も耳の底に残っています。

自然と動物に関心があった私にとって、この様子は大変なショックでした。実習から帰って、当時珍しかった玄米自然食の雑誌の記事と出合ったことは、畜産から気持ちが遠ざかっていた私にとって運命の出合いでした。皮肉なことに実習期間中の食事が肉・魚類がほとんどなかったことで、かえって体調が良くなる経験をしていたこともあり、その方面の知識について3カ月ほど貪欲に学び、相当詳しくなりました。

玄米自然食との出合いは、現代の栄養学や医学のみならず、現代の社会構造や現代文明への疑問となり、人間にとっての自然とは何かを考える大きなきっかけになりました。そして、大学では高2の時に読んだ山岡鉄舟の本の影響もあり、図書館で禅や荘子などの本を読む日々が続き、さらに新宗教関係の本や、量子論の入門書なども読み込んで自問自答を重ねました。

21歳の時、これまでの考えが積み重なり「人間の運命は完璧に決まっていて、同時に完璧に自由である」つまり人間の人生は、表はその人の運命が全て書かれ、裏は真っ白な一枚の紙のような…

つづきは2019年12月11日号をご覧ください

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