写真の力で文化財保護に取り組む「東京カメラ部」代表 塚崎秀雄さん(50)

ソーシャルメディアを活用したコミュニケーション設計を手掛ける一方で、延べ利用者数440万人の日本最大級の審査制写真投稿サイト「東京カメラ部」を運営。写真を用いた新たな魅力の発信による地域創生や、撮影マナーなどの諸問題に取り組んできた。
写真を撮る者として「文化財を残す」ことに貢献したいと考え、寺社と協力して文化財保護や観光公害に配慮したイベントを開催。寺社と写真家の双方にとって良い関係が築けるよう、橋渡し役を務めている。
原田梨里
ソーシャルメディアにおける写真の影響力とは。
塚崎 今はスマートフォンでSNS(会員制交流サイト)から情報を得る時代。写真はプロモーションの鍵を握っています。
スマートフォンが普及したことで誰でも気軽に写真を撮り、撮られた写真を見るようになりました。SNSは写真が発表される場所。情報が届くかどうかは写真に左右されるほど、影響力があります。
個人の投稿はごく一部の人にしか見られないため、発表の場を提供したいと思い審査制写真投稿サイト「東京カメラ部」を立ち上げました。サイトを通じて写真・カメラへの高感度層の多数のファンとつながることで、効果的な写真の選定と発信をサポートすることができています。
地域創生などにも取り組まれていますね。
塚崎 写真家は「独自の目線で見つけ出し、切り取る力」にたけている。写真は見る人にストレートに魅力を伝えられますし、そこへ行かなければ撮れません。地元の人が気付かなかった魅力を見つけて伝えることで、住民は町に誇りを持ち、より良くしようと努力して集客につながる。そんな良いサイクルを築きたいと取り組んでいます。
一部の撮影者の配慮に欠けた撮影行為によるトラブルは、見逃せない問題です。北海道美瑛町では、撮影者の農地への立ち入りが問題となっていました。美瑛町は農業の町ですが、観光業も重要な産業です。農業と観光業の折り合いという課題に対して、自治体と連携して撮影マナー策定と周知を行い、「写真の撮りやすいまちづくり」を進めました。
文化財の保護に取り組み始めたきっかけは。
塚崎 「風景写真の撮影マナー」策定を通して、「文化財の撮影マナー」も考えていく必要があると思いました。
お寺ではカメラが嫌われる傾向にあり、三脚や一脚が禁止の所も多い。このままでは撮影禁止になりかねませんし、私自身もそれは絶対に嫌だ(笑い)。ルールを…
つづきは2020年2月12日号をご覧ください