PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
今年度「宗教文化講座」中止のおしらせ
PR
宗教文化講座中止のお知らせ 墨跡つき仏像カレンダー2020

龍谷大犯罪学研究センター長 石塚伸一さん(65)

ほっとインタビュー2020年6月9日 09時51分
龍谷大犯罪学研究センター長 石塚伸一さん (龍谷大提供) いしづか・しんいちさん=1954年、東京都生まれ。中央大大学院博士課程退学後、九州大で博士(法学)学位取得。北九州市立大教授を経て98年から龍谷大教授。現在、同大犯罪学研究センター長、日本犯罪社会学会会長。

法学者として受刑者の矯正・保護や宗教教誨、死刑、薬物依存などの問題を長年研究し、龍谷大が設置する犯罪学研究センター長として、犯罪予防と対人支援を軸とした犯罪を巡る多様な研究活動を統括する。

死刑の再審請求にも関わっているが、罪を犯した人々との出会いを通して近年、「善意」=「知らないこと」、「悪意」=「知っていること」という法学上の考え方を手掛かりに、浄土真宗が説く「悪人正機」の教説の意味がふに落ちるようになったという。

池田圭

「善意」=「知らないこと」、「悪意」=「知っていること」とはどういう意味なのでしょうか。

石塚 僕はドイツで勉強したのですが、ドイツでは「知る」には「善い知る」と「悪い知る」があると考える。日本語では「善い知る」の人を「善意者」、「悪い知る」の人を「悪意者」と訳すのですが、それが法律用語としてずっとふに落ちなかった。

例えば「善意の第三者」という言葉がある。盗まれた時計を買った場合、「盗まれた時計であることを知らない善意の第三者なら時計は取得できる。しかし、知っている悪意の場合には所有権は移動しない」みたいな話を民法ではするんですが、僕は「善意の第三者ってばかなやつ。もう少しきちんと調べてから買えよ」と昔は思っていた。

しかし「これは誰のものか」と考えて買った方が悪意になる。法律上の善悪は倫理的・道徳的な価値判断じゃないんです。

そうしたことを浄土真宗の大学である龍谷大に在籍しながら、親鸞さんの「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」の悪人正機説と合わせて考える中で、10年くらい前から「善意は知らない」「悪意は知っている」という、ただそれだけの意味として捉えるようになりました。「ただありのままに知っている状態と、知らない状態がある」と考えると納得がいく。

二元論的な善悪の話ではないと。

石塚 人間は皆、人に迷惑をかけて生きている。生きていることそれ自体が人にとって迷惑。自分は罪深い者。

だとすると、善人は「善いことや徳を積み重ねているような人」「悪いことなんてしていない真面目に生きている」という人。しかし、自分がみんなに迷惑をかけていることに気付いてはいない。

他方、悪意の人は自分がみんなに迷惑をかけていることを知っている。であるなら、知らずに徳を積んできた人が救われるなら、それに気付いた人は当然でしょうと。

僕が宗教教誨と…

つづきは2020年5月27日号をご覧ください

神道の世界を伝える「唄ひ手」 涼恵さん

神道の世界を伝える「唄ひ手」 涼恵さん

6月22日

自然やヒトへの感謝など神道の教えを言霊にして歌い上げる。自ら作詞作曲を手掛ける曲は、自分ではない大きなものから頭の中に流れ込んでくるのだという。そうしてできた独特の音楽を…

生と死を統合する生き方を目指す医師 帯津良一さん

生と死を統合する生き方を目指す医師 帯津良一さん

5月25日

東京大を卒業後、当時がん治療の最先端だった都立駒込病院でメスを振るった。しかし西洋医学の限界を感じ、中国医学を学ぶため北京に渡った。現地では胸がぱっかりと開いた患者から挨…

葬祭文化の地位向上・発展を図る全葬連会長 石井時明さん

葬祭文化の地位向上・発展を図る全葬連会長 石井時明さん

5月12日

17歳の時に葬儀社を継承し、以降約50年もの間、葬祭業に携わる。全国57事業協同組合が加入する葬儀社ネットワーク・全日本葬祭業協同組合連合会(以下、全葬連)の会長を務める…

拡大する格差と差別 問われる「平等」の理念

社説7月3日

憲法第89条解釈 宗教界の広い議論が前提だ

社説7月1日

「震災伝承ロード」 伝える熱意と工夫が重要

社説6月26日
このエントリーをはてなブックマークに追加