PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第18回「涙骨賞」を募集
PR
中外日報宗教文化講座2021 第18回「涙骨賞」を募集

「納得のいく死」を考え続ける解剖医 池谷博さん(51)

ほっとインタビュー2020年7月7日 09時13分
「納得のいく死」を考え続ける解剖医 池谷博さん いけがや・ひろしさん=1969年、東京都生まれ。91年に早稲田大法学部中退、97年に宮崎医科大(現宮崎大)卒業。東京大医学部泌尿器科勤務を経て2003年、同大学院医学系研究科修了。医学博士。警察庁科学警察研究所などを経て、08年から京都府立医科大法医学教室教授。

犯罪死の見逃しを防ぐ役割が期待される解剖医(法医学医師)として年間約150体の解剖に従事する。臨床宗教師と共に突然死した人の遺族の心のケアを考える勉強会を今月に立ち上げ、人が悔いなく生きられるよう医師の立場から納得のいく死を考えている。

4月に施行された死因究明等推進基本法では専門家育成の推進が盛り込まれた。「医師増員は構造的に困難」と指摘するが「犯罪被害者がどのように亡くなったかを解明することは犯罪の適切な評価につながる」ため必要と訴える。

須藤久貴

昨年7月の京都アニメーション放火殺人事件では、36人が亡くなり、33人が重軽傷を負いました。

池谷 京都地検が全員の死因究明をすべきだと主張しました。京都府立医科大法医学教室では25人を執刀しました。現場の混乱状況は、遺体から目に見えるように分かりました。

同じ場所で複数人が同時に殺されたとしても、一人だけ解剖すれば全員の死因が分かるというものではありません。死因は違うかもしれません。一人一人可能な限り解剖をして、きちんと調べるべきです。

単に解剖だけやればいいというものでもありません。階段から落ちて亡くなった人を扱うときは、スタッフに階段の計測をしてもらっています。私は2級建築士でもあるので、階段が建築基準法上適法に作られているかどうかもチェックします。例えば公共の施設で最後の段だけ高さが違っているなら建築物に問題があるということですから、再発防止策を講じる必要も出てきます。

新型コロナウイルスに感染した遺体は扱いましたか。

池谷 京都府内で感染の疑いがある変死体については、3月以来全て府立医大で診るように依頼し、CT(コンピューター断層撮影)やPCR検査を行っています。でもふたを開けてみたら、実際に罹患していた人はこれまでのところ、いませんでした。

死因究明等推進基本法が4月に施行されました。基本法には法医学の研究拠点整備や専門家育成支援などが盛り込まれています。

池谷 警察庁によると、全国の警察が異状死(変死)として取り扱った死体数は昨年1年間で約17万2千件。このうち司法解剖や承諾解剖などによる解剖が行われた数は約2万件。解剖率は11・6%です。日本全体の死亡数(約137万6千人)を分母に取ると、解剖率は2%以下に減ります。極めて少なく不十分です。

遺体を解剖して死因究明を行うことは、犯罪の発見につなが…

つづきは2020年6月24日号をご覧ください

ダウン症の書家 金澤翔子さん

ダウン症の書家 金澤翔子さん 母・泰子さん

8月2日

書家の金澤翔子さんはダウン症のため、小学4年の時、普通学級から身障者学級へ転校することになった。落胆した母の泰子さんは娘に般若心経276文字を筆写させた。翔子さんは母を悲…

寺社での和婚式を復興した京鐘社長 辻順子さん

寺社での和婚式を復興した京鐘社長 辻順子さん

5月31日

結婚式はホテルやチャペルでの挙式が中心だった時代に、寺社での挙式の復興に奮闘し、近年の和婚ブームの火付け役となった。和婚式のプロデュースや衣装のレンタルを手掛ける京鐘の社…

現場の視点に立って貧困問題に取り組む 大西連さん

現場の視点に立って貧困問題に取り組む 大西連さん

4月26日

NPO「自立生活サポートセンター・もやい」の理事長として、野宿者のアパート入居支援や生活困窮者の相談支援、社会的孤立を防ぐための交流事業、社会の仕組みを変えるための政策提…

かつて日本が辿った道 香港民主派の大量辞職に憂慮

社説7月30日

いのちの重み伝える やまゆり園事件から5年

社説7月28日

コロナ禍の死者を悼む 悲しみを共にする場が必要

社説7月21日
このエントリーをはてなブックマークに追加