PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第18回「涙骨賞」を募集
PR
第18回「涙骨賞」を募集 翠雲堂

永遠の生存を説く生物学者 本川達雄さん(72)

ほっとインタビュー2021年2月8日 11時54分
永遠の生存を説く生物学者 本川達雄さん もとかわ・たつおさん=1948年、仙台市生まれ。東京大卒。琉球大助教授、東京工業大教授を経て、現在、同大名誉教授。理学博士。著書に『ゾウの時間 ネズミの時間』『生物多様性』『生きものとは何か』など多数。

自分が死んだら終わりと考える現代人。しかし『ゾウの時間 ネズミの時間』の著者は、生物学の立場から「自分とは次世代も含めて続いていくもの」と説く。経済活動が招く地球温暖化や資源の枯渇――。次の世代を考慮しない今の人たちの生き方、社会の在り方に警鐘を鳴らす。

赤坂史人

ご専門のナマコの研究を始めた経緯は。

本川 私は団塊の世代、物をどんどん作って豊かになろうという世代です。大学では理系なら工学部、文系なら経済・法学部に皆行きたがる。でも、これ以上、全員が金もうけに走らなくてもいいじゃないかと感じ、地道に真理を追究する学問をしたかった。となると理学部か文学部です。

理学部は素粒子物理学が花形で、素粒子のような基本粒子さえ分かれば全てが分かるという雰囲気でした。他方、文学部は心が分かれば全て分かると考える。主張が両極端に分かれていますね。私にはどちらの見方も偏ると感じられたんです。二つの真ん中の立場から眺めたら全体がつかめるのではないか……。そう考えて生物学科に進学しました。研究してきたのはナマコ、ウニ、ヒトデ、貝、サンゴ、ホヤ……全て脳を持たない動物です。

なぜ脳がない生物を。

本川 脳があると、脳で全てが分かるという考え方に引きずられるじゃないですか。脳がなくたって生きていける動物はいるんです。脳死が生物の死だっていったらナマコなんか生きていないですよ。

ナマコを観察して分かったことは。

本川 沖縄の海に行ったらナマコがごろごろいる。近づいても逃げない。逃げ足の遅い動物は隠れるか硬い殻で身を守るのに、ナマコは違う。でも食われもせずにたくさんいる。これは研究すべきだと思い、まずナマコを丸一日海の中で見ていたんです。見ていても、全然動かない。

私はキリスト教の学生寮にいたんですが、こっそり坐禅会にも顔を出し、白隠禅師の「隻手の声を聞け」の公案をもらって坐っていました。両手を合わせれば音が出るが、片手の音を聞け。これは矛盾ですよね。動かないナマコの動きをずーっと見ていて、隻手と同じだなぁって思いましたね。

この時に湧いた妄想が「こんな動かないナマコに流れている時間と僕らに流れている時間は果たして同じか? 動物により時間が違うのではないか?」です。それが後年、拙著『ゾウの時間 ネズミの時間』になりました。

つづきは2021年1月27日号をご覧ください

仏教講談も演じる講談師 一龍斎貞鏡さん

仏教講談も演じる講談師 一龍斎貞鏡さん

9月27日

源平合戦や赤穂義士伝といったおなじみの演目に加え仏教講談を得意とし、僧侶と結婚してからも弘法大師、法然上人、日蓮聖人など様々な宗祖を高座に上げる。男性が築き上げてきた伝統…

古典から近代を読み解く文芸批評家 安藤礼二さん

古典から近代を読み解く文芸批評家 安藤礼二さん

8月23日

折口信夫の『死者の書』を起点に近代思想家の思索をたどり、古代から近代をつなぎ合わせる。古今東西の書物をひもとき「書くことは読むこと」との信念で執筆する。空海『三教指帰』を…

ダウン症の書家 金澤翔子さん

ダウン症の書家 金澤翔子さん 母・泰子さん

8月2日

書家の金澤翔子さんはダウン症のため、小学4年の時、普通学級から身障者学級へ転校することになった。落胆した母の泰子さんは娘に般若心経276文字を筆写させた。翔子さんは母を悲…

一人の選択と責任 地球の明日を生きるために

社説10月22日

AID出生者の苦悩 寄り添いと技術の歯止めを

社説10月21日

因果論活用の限界 宗教的な共生の意志こそ

社説10月15日
このエントリーをはてなブックマークに追加