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武装組織に40カ月拘束されたジャーナリスト 安田純平さん(46)

ほっとインタビュー2021年3月8日 09時20分
武装組織に40カ月拘束されたジャーナリスト 安田純平さん やすだ・じゅんぺいさん=1974年、埼玉県入間市出身。信濃毎日新聞に入社。在職中にアフガニスタンやイラクの取材を始め、2003年にフリージャーナリストに転向。紛争地で活動する。『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』『シリア拘束 安田純平の40か月』など。

料理人になるなどして現地に溶け込み、アフガニスタンやイラク、シリアの紛争地で取材を続けてきた。2015年、トルコからシリアの国境を越えたところで武装組織に拘束、3年4カ月監禁された。神に祈り、ムスリムにもなった。そうして見えてきたのは、どうにもならない苦しみの中で、精神的な支えになる宗教の役割だった。

甲田貴之

イラクやシリアで最初に目にしたものは。

安田 フセイン政権のイラクは世俗的で、イラク産ビールやキリスト教徒が営む酒屋も普通に存在してイスラム教の宗教色は強くありませんでした。政権崩壊後、行政機構も法律も存在しない社会で、イスラム教が秩序を守る役割を果たしていました。2011年に始まったシリア内戦でも、当初は反政府側の人々が世俗的な自治を行っていました。しかし、政府軍による空爆が激化し、資金も尽きてくるとギャング化する者も現れました。そこでアルカイダが彼らを粛正することで人々から支持を集めました。宗教的な規律の厳しさが当時は人々に支持されたのです。

私が最初にシリア内戦を取材した12年はまだイスラム系の組織が台頭しておらず、反政府側にはキリスト教徒やドルーズ派もいて、宗教的に比較的寛容でした。また、政権崩壊後のイラクは宗派対立による内戦が激化しましたが、利権争いの中で宗教・宗派の違いが利用されるようになったというのが順序でしょう。

そこで信仰の意味を見いだせましたか。

安田 私は特定宗教の信仰を持っていません。現地でもあくまで第三者の視点で取材していました。

私を拘束した武装組織は非ムスリムを排除する過激主義と思われたくないという思惑があって、「改宗は求めない」と言っていました。しかし、非ムスリムに対して丁重に扱うという姿勢を示しつつ、長く拘束し厳しい環境下に置く彼らに対し、反抗としてあえて彼らの仲間であるムスリムになることを決めました。信心があるわけではありませんでしたが、なったからには礼拝もちゃんとしました。

拘束中は「あの時にああすればよかったのに」と全てを悪く受け止めてしまいがちです。礼拝や瞑想、般若心経など何かを繰り返しつぶやくだけでもいい、考えることから離れる時間をつくって思考を一度リセットする方法を持っているとよいと実感しました。

安田家は出雲出身なので、初めは生きて帰れるようにと4度かしわ手を打って神頼みをしました。これまで全くそんなこ…

つづきは2021年2月24日号をご覧ください

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