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古典から近代を読み解く文芸批評家 安藤礼二さん(54)

ほっとインタビュー2021年8月23日 09時12分
古典から近代を読み解く文芸批評家 安藤礼二さん あんどう・れいじさん=1967年生まれ。早稲田大第一文学部卒。編集者を経て文芸批評家。『神々の闘争 折口信夫論』で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。著書に『光の曼陀羅 日本文学論』『大拙』など。多摩美術大芸術学科教授、同大図書館長。

折口信夫の『死者の書』を起点に近代思想家の思索をたどり、古代から近代をつなぎ合わせる。古今東西の書物をひもとき「書くことは読むこと」との信念で執筆する。空海『三教指帰』を漢詩・戯曲の傑作と捉え、宗教者の姿ではなく、膨大な典籍に創造的に解釈を与えた表現者として迫る。

磯部五月

これまで研究されてきた近代思想とは。

安藤 今から約100年前に活動を本格化させた国文学者の折口信夫(1887~1953)や博物学者の南方熊楠(1867~1941)らを中心に読んでいます。大正から昭和の思想です。世界経済の強い力が押し寄せ、韓国併合と大逆事件(1910年)など中央集権化が強烈になる。日露戦争後に神社合祀が進められ、全国の小さな祠が取り払われ、鎮守の森が切り開かれました。熊野や屋久島でさえも標的になったのです。時代は第1次世界大戦(14~18年)、関東大震災(23年)と続きます。

南方は「エコロジー」という「言葉」を使って自然保護運動を展開する中で、後に民俗学を創始する柳田國男(1875~1962)と出会います。両者は産業化の恩恵を受けながらも、自然と向き合い、自然の大切さを「言葉」で表現しました。自然と文化は両方が大切なのです。

彼らは「近代」にあらがいながらも“正義”を一面的に追求せず、「世界」を探究することを楽しんだ。日本の危機に際し、古いテキストを丁寧に読み返していました。『古事記』は712年、『日本書紀』が720年と、8世紀初頭に編纂されました。ほかには『万葉集』や『日本霊異記』があります。

最澄や空海が生まれたのも同時代で、彼らが書き残したテキストは遡行できる日本で最も古いテキスト群と言えます。

今古典に挑む理由は。

安藤 『列島祝祭論』(2019年、作品社)は、先に挙げた近代の思想家がしたように自分自身が古いテキストを読み返す必要があると感じ執筆しました。新型コロナウイルスが全世界的に感染拡大し、一層危機的な状況が現れた時、改めて空海を読み直す必要があると感じました。

2020年代という現在は、世界が一つになり始めた100年前を「もう一度やり直している」ように感じています。1925年に治安維持法が成立したように、2021年の現在、私権の制限について議論され始めています。

今回のオリンピックの強行も経済の問題でした。新型コロナウイルスは、世界が一つに「つながっ…

つづきは2021年8月11日号をご覧ください

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