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仏教講談も演じる講談師 一龍斎貞鏡さん(35)

ほっとインタビュー2021年9月27日 09時18分
仏教講談も演じる講談師 一龍斎貞鏡さん いちりゅうさい・ていきょうさん=1986年生まれ。祖父の七代目一龍斎貞山、父の八代目一龍斎貞山に続き、世襲制でない講談界で初めて3代続く講談師。2008年入門、12年に二ツ目昇進。軍記物、毒婦伝など幅広く読み、仏教講談も頻繁に行っている。

源平合戦や赤穂義士伝といったおなじみの演目に加え仏教講談を得意とし、僧侶と結婚してからも弘法大師、法然上人、日蓮聖人など様々な宗祖を高座に上げる。男性が築き上げてきた伝統話芸を女性が演じるには困難もあるが、「その人の料簡になれ」との師匠の教えを胸に、善人も悪人も描き切れるよう人間磨きに努めている。

有吉英治

日蓮聖人御一代記を読み始めたきっかけは。

貞鏡 義理の祖父の六代目神田伯龍が得意にしていて、父の八代目貞山が受け継ぎ、私は12年ほど前に稽古をつけてもらいました。日蓮聖人の御一代記は全部で18席あります。1席40分くらいで、御誕生、立教開宗、四大法難とそれぞれに見せ場があって、一番面白いのがどれとは言いにくいですね。ただ聖人のお人柄がよく伝わるのは、龍口法難の場面だと思います。お弟子の日朗上人が体を張って師匠を守ろうとされるのですが、日蓮聖人は見苦しいから泰然自若としていろと諭される。首切り役人にもお慈悲を掛けられるし、途中でぼた餅を差し上げた桟敷の尼という女性に対しても分け隔てなく対応されて、やっていて感極まって涙が出てきます。でも高座で泣くわけにはいきませんので、ぐっとこらえてやるんです。

感情込めて涙を流しながら、というのも一つのやり方なのでしょうけれど、お弟子の気持ちになってしゃべった後にすぐ、上手を向いて日蓮聖人を演じるわけですから。師匠はよく、講談師は中立でなければいけないと言いました。それが師匠の、講談の美学でした。

演じ分けで使う声もそうです。講談は男性がつくり上げた芸なので、男の人が女性を演じても違和感はありませんが、女性が無理に男性の声を出そうとするのを師匠は好みませんでした。私は腹から声を出す稽古を1年やりましたが、師匠からは「その人の料簡になってやれば、自ずと日蓮聖人にもお弟子にもなれる」と教えられました。確かに声だけで似せようとすると、薄っぺらい講談になってしまいます。お腹と気持ちで演じるとお客さまにも伝わるようです。

「芸は人なり」と。

貞鏡 そうですね。生ものなので、同じ講談は二度とできません。私の経験が全て高座に出てくるので。善人のお話を読んでいても、自分の心がよこしまだと、善人が悪者に見えてしまいます。私自身を磨いていかないと。みんな伝わってしまうので、それは怖くもありますね。

ほかの宗祖の話も読まれます。

貞鏡 弘法大師、法…

つづきは2021年9月8日号をご覧ください

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