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選手のメンタルを指導するスポーツ心理学者 荒木香織さん

ほっとインタビュー2021年10月28日 11時29分
選手のメンタルを指導するスポーツ心理学者 荒木香織さん あらき・かおりさん=京都市出身。日本大を経てアメリカに留学。ノーザンアイオワ大、ノースカロライナ大の大学院でスポーツ心理学を専攻し修士・博士号を取得。園田学園女子大教授、順天堂大スポーツ健康科学部客員教授、CORAZON(コラソン)チーフコンサルタント。

ラグビー日本代表のメンタルコーチとして2015年のワールドカップでの大躍進を支えた。五郎丸歩選手のプレ・パフォーマンス・ルーティンの指導で一躍有名に。大学でスポーツ心理学を教えながら、様々な選手のメンタル指導を手掛ける。仏教に関心が深く「自分自身を知る」ことが大切だと強調する。

河合清治

スポーツ心理学者として東京オリンピック・パラリンピックはいかがでしたか。

荒木 守秘義務があり具体的なことは言えませんが、私も選手のメンタルのコンサルテーション(相談や指導)を担当させてもらいました。

メダルが有力視されていた選手やベテラン選手が、日頃できていたことがうまくいかずに失敗したり、逆に、初めて挑んだ若い選手が活躍したりしました。

男子400㍍リレーのバトンミスや、体操の内村航平選手の落下は「まさか」でした。

荒木 人というのは環境から切り離して一人で生きているのではありません。また、環境の変化に適応していく力が必要です。オリンピックでは周囲の期待の大きさに比例してプレッシャーも大きくなり、そんな特殊な環境の中で普段通りのことをやろうとしても無理なのは当然です。だからこそ日頃から繰り返し、準備しておくことが必要なのです。

どのような環境においても自分らしくいられる練習ということになりますが、そのためにはまず自分自身を知ることが必要です。自分の身体から切り離された知ではなく己事究明に努めることです。

五郎丸選手のコンバージョンキック時のプレ・パフォーマンス・ルーティンもその一つですね。

荒木 五郎丸選手はキックが入るのを祈ってルーティンを行っていたと勘違いされがちですが、そうではありません。結果は二の次で、このキックを決めたいとか、勝ちたいとか全く考えずに、あの時間に自分のために心を研ぎ澄ませてルーティンを行うことだけが重要です。そうすることによって、周囲の環境に左右されることなく、自分の体で表現できる最高のパフォーマンスを行うことができ、その結果、キックを高い確率で決められるようになるのです。

ルーティン自体の内容も要らないことは極力なくし、必要最低限のものだけです。ボールを置く、軸足、角度の確認、蹴り込み過ぎないようにイメージし、深呼吸する。それだけです。何か新しいことをするという足し算ではなく、引き算で、できる限り何もない状態にしておくのが重要になってきます。仏教…

つづきは2021年10月13日号をご覧ください

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