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国民投票のTV広告 心の備えが不可欠だ

2018年11月9日 10時56分

2004年6月、長崎県佐世保市の小学校で同級生を殺害した6年生女子児童が「(被害女児に)直接会って謝りたい」と言った。驚いた同県教委が「生と死」のイメージに関する子どもたちの意識調査を行った結果、児童・生徒の15%以上が「死者は生き返る」と思っており、その理由はテレビ・映画で生き返るところを見たからという回答が約3割も占めたことが宗教界でも関心を呼んだ(『メディアの中の「宗教」』本願寺出版社)。

もとより命はリセットできないが、これを子どもの世界の話と決め付けると恐らく判断を誤る。映像メディアは、時に理性抜きで人の感情や情緒を刺激する弊害が指摘される。特にテレビにはその懸念が強く、人を極限まで服従させる魔力を持つことを示した書『死のテレビ実験』(河出書房新社)によると、暴力的でインパクトのある映像を執拗に流すと視聴者は恐怖心や高揚感をあおられ、暴力へのハードルが低くなる。自分は自由意思で行動し、やすやすと権威(テレビ)に誘導されないと思っている人ほど操られやすく服従しやすいと同書は論じる。

長い前置きになったが、実は改憲の国民投票で相似形をなす現象が生じないかと危ぶむ。現行国民投票法では、国会が改憲を発議すると賛否を訴える運動が60~180日行われる。広告は、新聞は規制がなくテレビは投票日の2週間前まで自由、賛否を勧誘せず著名芸能人が自分の意見を語るといった形のCM(意見広告)なら投票当日まで放映可能という。

企業や団体、宗教法人なども広告を出せる上、広告費にも制限がない。ネットなども含め数百億円以上の広告“特需”が発生するようで、資金量の差が結果に表れかねない。だが、放送各社の日本民間放送連盟は9月、表現の自由などを理由に広告量の自主規制をしない方針を明らかにした。

国民投票の広告はテレビCMのシェア35%の電通が主導するのだろうが、それはさておきテレビの魔力に戻ると、例えば北朝鮮のミサイル発射の映像に重ねて「憲法を変えなければこの国を守れない」と語り掛けるようなイメージ広告を繰り返し放映すれば一定の効果はあるだろう(本間龍、南部義典『広告が憲法を殺す日』)。

そもそも広告は人の心を操作する技術であり、薬の広告でも分かるが不安や恐怖を誇張することもいとわない。受け手側の冷静で自律的な判断が迫られる所以だ。憲法は国の形を定める。改憲が発議された時、今の世に最適解を選ぶ自律性が備わっているだろうか。

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