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安易な労働力対策 少子化改善が先決だ

2019年2月8日 15時12分

女性1人が生涯に産む子どもの推定人数の平均が1989(平成元)年に、丙午の66年の1・58を下回ったいわゆる「1・57ショック」から30年。出生率は依然低く、平成の世が少子化の改善に有効な手を打たなかったことが悔やまれる。少子超高齢=人口減社会は深刻な過疎問題に集約されがちだが、より普遍的に単身世帯の急増による家族の危機という側面を見落とせない。都市も地方も問わぬ潮流で、葬祭や寺社の運営、檀信徒との関係など宗教界も大きく影響を受けていかざるを得ない。

日本は人口が減っているのに世帯数が増えていくのは、単身世帯が増えているからだ。2015年の国勢調査で単身世帯は1840万世帯を超え、全体の約35%を占めた。40年には約4割に上ると推計され、いずれ一人暮らしが社会の主流になるとの指摘もある。

長寿化に伴う配偶者との死別もあるが、より本質的な要因は結婚しない人が増える非婚化と、結婚年齢が上がる晩婚化とされる。例えば50歳まで結婚歴のない人の比率(生涯未婚率)は男性がほぼ4人に1人、女性は7人に1人の見当で、わずか半世紀前はほとんどの人が結婚していたのと比べ隔世の感がある。未婚率は将来、さらに高まると想定されている。

なぜ非婚化が進むのか。複雑な事情が絡むが、大きな理由は非正規労働者が4割に達する不安定な雇用環境にあるようだ。それを裏付けるデータは多く、平成に入り非正規雇用率の上昇に呼応するように、出生率がおおむね1・50以下をさまよってきたのは一例だ。特にバブル崩壊以降の就職氷河期に遭遇した団塊ジュニア世代からの未婚率が高く、第3次ベビーブームは起こらなかった。

非正規雇用率はとりわけ女性が高く、女性の社会進出の時代、男女共に安定した職場の確保が少子化対策に必須だが、徐々に進む状況の悪化に社会の危機感は薄く、今なおその対策は皆無に等しい。

このように順を追うと昨年末、外国人労働者受け入れを拡大する出入国管理法をスピード改正したことのおかしさが見えてくる。縮めて言うなら少子化・人口減対策の失敗を経済界の要請に応じ、低賃金を期待できる外国人労働者で穴埋めする。そのように見られるので運用の慎重さが求められる。

もとより異文化導入には利益がある。ただ、外国人労働者は容易に受け入れ国の文化に同化しないという西欧の経験も重要だ。だからまず日本の非正規雇用を改め、その効果で少子化の改善を図る。そのことを強く宗教界から望んでおきたい。

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