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東日本大震災8年 消えぬ悲しみと苦悩

2019年3月23日 15時20分更新

東日本大震災の被災地ではなお悲しみと苦難が満ちており、8年は決して“節目”ではない。津波が内陸奥深くまで達し、地域が壊滅して住宅地が消えてしまった宮城県山元町で荒野にぽつんと取り残された曹洞宗寺院では、住職が檀家に支えられながら全壊した伽藍を自力で修復している。しかし毎年あの日が近づくと当時の悪夢がよみがえり、何年たっても復興が程遠い地元の状況や人々の苦悩に気持ちが落ち込むという。

社殿が全滅した近くの神社では、廃材を組み合わせてようやく仮設の小さな本殿や社務所、鳥居が建ったものの、氏子の多くが被災して本格復旧の計画はまだ進まない。震災後に神社再建を嘱望されて就任した宮司は、生活のために勤め人をしながら献身的努力を続けるが、今後の見通しは暗く、11日には午後2時46分に誰もいない境内で一人で神事を営んだ。

同県名取市の犠牲者の大多数が集中した海辺の閖上地区で、震災を語り伝える活動を続けるNPOには遺品展示施設のためのクラウドファンディングに全国から多くの寄付が寄せられた。だが事務局の男性によると、かつて多かった見学者もこの時期を除いては徐々に減っているという。かさ上げされた土地に住宅がようやく建ち始めたが、男性の妻は多くの死者が出た土地に戻れない。仕方なく地区外に転居した男性が「語り部をしているのに、裏切り者みたいでつらい」とこぼす表情は痛々しかった。

同県石巻市で焼きそば店を営む男性は、津波の時つないだ手が離れて流されてしまった妻の遺体がまだ見つからない。その妻が「また続けて」と言う気がして再開した商売は、客が年々少なくなり行き詰まった。懸命に働いても行政の災害援護資金返済のめどが立たず、いつもテレビカメラが集中する「頑張ろう石巻」の大看板に複雑な思いだ。「いつになったら皆が『頑張れたなあ』と言えるのか」

こんな中で、山元町の住職は「私にとっては毎年、3月11日が年の始まり」と檀家や住民、ボランティアたちと共に町の再興のために様々な催しや取り組みに力を入れる。まだ泣くことさえできない人もいる。この日を期して「亡くなった方々に一生を懸けての復興を誓う」と言う。追悼法要など11日の全ての行事が終わった夜、住職は無人の荒野に点在する幾つもの慰霊碑を回り、小雨交じりの闇の中でただ一人で供養した。8年前の夜と同じように吹きすさぶ寒風に衣を翻しながら読経するその鬼気迫る姿に、悲しみに寄り添う宗教者の心が見えた。

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