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寺院護持の意味 現代社会に必要な仏法

2019年4月3日 15時12分更新

相次ぐ政府の学制改革に宗門学校が対応を迫られていた頃。1908(明治41)年3月、臨済宗妙心寺派機関誌『正法輪』の「禅宗と教育」に関するアンケートに、東京朝日新聞の記者だった杉村楚人冠は次のような回答を寄せた。

「一個半個参玄の上士を打出せんことを思わずして、無暗に坊主を多く作り、用にも足らぬ法寺を保存せんことを思えばこそ斯る問題も生ずるなれ…、今の禅僧と今の寺と皆な盡く滅び去って、此に初めて『禅宗の教育』成る也」

杉村は高嶋米峰らがピューリタンの名を模して立ち上げた「仏教清徒同志会」に加わり、雑誌『新仏教』を創刊して、仏教界の改革を唱えたジャーナリスト。

遠慮会釈のない極論だが、「一個半個参玄の上士(数はわずかでも悟りに達した者)」など禅宗の価値観を押さえており、建前論として共鳴する禅僧は当時でもある程度いたはずだ。この種の見識の持ち主は、今の仏教界でも存在するだろう。

社会から必要とされないものは消える。宗教的真理は別として、長い目で見れば寺や神社も例外ではない。仮に文化財として命を永らえても、そこに宗教的真理の担い手がいなければ意味はない。

文化庁が進める不活動宗教法人対策は、まさに必要とされないものは消していく、という論理だ。法人格は宗教団体が権利・義務の主体になるための法的資格だから、社会との交渉がなくなれば不必要であり、不活動法人の整理はある意味で当然といえる。

かつて仏教界では宗教法人解散を廃寺のイメージで捉えて強い抵抗感を示す人もいた。1995年の宗教法人法改正後、文化庁が不活動法人対策として備え付け書類提出義務化を説明した時、改正時の宗教法人審議会委員だった某宗派の宗務総長は、先人が護持してきた寺を簡単に廃するわけにはいかないと不満を述べていた。

こうした不満は、寺門護持に尽力する多くの宗門人の感覚につながる。檀徒が少なく経済的に厳しい寺院を兼職の収入で支えているような住職なら、遠い未来のことはいざ知らず、「皆な盡く滅び去って」といった切り捨て方は決してできないはずだ。

社会に不必要なものは社会から消え去る――先師が守り続けてきた寺は護持しなければならない。これは、もちろんジレンマではない。宗教的真理を説き、耳を傾けてもらうには難しい時代だが、いま、社会に最も必要とされるのは仏法だ、という信念で教化に取り組むことが、強く求められている。

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