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幸福度の低さ 日本社会の深刻な病理

2019年4月10日 11時48分更新

「国際幸福デー」(3月20日)に国連が報告する世界幸福度ランキングは、各国の世論調査プラス健康寿命など六つのデータで評価される。2019年、日本は前年より四つ順位を下げ58位だった。タイや韓国より下で、4年連続50位台の低いランク付けである。

数字で表しにくい個人の主観的な幸福感が日本は国力に比べて低いのは周知のことに属する。ただ国連報告で気になるのは、6データのうち健康寿命は2位、1人当たり国内総生産は24位なのに生き方の自由度が64位、寛容さが92位で特に低く、足を引っ張っていると評されていることだ。

報告では北欧諸国がランキングのベスト4など上位を固めている。進んだ福祉制度のほか、全て国旗にキリスト教の十字架をデザインしていることで共通する。心の機微に触れる幸福感を物差しとしたとき、北欧と日本との落差には現在と将来の生活不安や社会の同調圧力の違いばかりでなく、宗教も関係するのでは、という問い掛けがある。仏教の語りだけでは回答は出せそうにない難題だ。

長寿国で経済的にも豊かなのに自分の人生さえ自由に選べず、他者に非寛容な息苦しい社会。国連報告では日本の国柄はそういうことになる。調査主体は異なるが、どこか通じ合う国際指標はほかにもある。例えば報道の自由度で日本は67位、男女平等度では実に110位などが挙げられる。逆に世界平和度指数が9位にランクされているのは治安の良さもあるが、憲法の平和主義が大きかろう。

自由と寛容で浮かぶ言葉に個人主義がある。日本は利己主義と混同されるが、本来の個人主義は自己の自由、権利の主張はもとより他者の意見や立場も尊重する利他の精神がないと成り立たないとされる。そもそも人の意見に聞く耳持たず、では寛容の心は生まれようがない。退位される天皇陛下が被災者の声にじっと聞き入る姿に国民が共感したのは、そこに寛容で真摯な人柄を見たからだろう。

自分の好む情報にだけ浸れるネットの影響もあって、近年は俗受けする極端な意見に引きずられがち。そんな全体主義的な空気の中で、人々は心の拠り所を探し続けているようだ。宗教に関する問いに戻すと、幸福感を持てない心を誤りなく導くものが今、喫緊に求められているはずである。

先日、17年の統計で、自殺が戦後初めて10~14歳の死因の1位だったと報道された。人数は100人だが、育ち盛りが自死を選ぶ社会の異常。その深い病理に、大人たちはもっと目を見開かねばと思う。

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