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被災地8年目の春 復興への地道な歩み

2019年4月17日 12時51分

東日本大震災から8年の春を迎え、被災地では“復興”に向けたいろんな動きが地道に進められている。東京電力福島第1原発の事故で全町避難となった福島県浪江町の住職は、留守中に荒廃した伽藍の修復を進め、この夏には念願の法要を再開しようと準備に没頭している。「苦しいことばかりの、あっという間の8年だったが、前を向くしかない」と言う。

全村民が避難を強制され、年月を経てようやく帰還が進む同県飯舘村では、県外からの転入者も含めて人々が新しい生活の再開を試みる。米国カリフォルニアで夫婦で生花店をしていた女性は、単身帰国して「第2の故郷」にかつて「日本一美しい村」に選ばれた飯舘を選び、道の駅で働く。「食べることが大好きな」若い女性は、こども園の栄養士となって子供たちの献立作りをしている。

飯舘から1800キロも離れた鹿児島県・沖永良部島から移住してきた60代の男性は、村の肥えた土地で花卉栽培に励む。男性は以前、出稼ぎ仕事で企業体に雇われ、放射能の除染作業で初めて村に来た。自然の美しい風景や豊かな農地に魅せられ、島では台風で断念した花作りに再挑戦した。栽培するのはキリンソウの仲間のソリダゴ・タラ。島だと遠方でハードルが高過ぎた首都圏への出荷も望めるといい「村の人と交流して栽培を広めたい」と張り切る。

この話を紹介してくれた地元の浄土真宗本願寺派善仁寺住職でもある村役場農政課の杉岡誠順さんは、法務と並行して各種の農村復興策に奔走している。この相馬地方は江戸時代の天明期に大飢饉で村々が疲弊した際、越中富山から「北陸門徒」と呼ばれる熱心な真宗信徒ら数千人の農民が入植して復興したという歴史があり、多くの住民がその子孫だ。「移住者のパイオニア精神が引き継がれているかのよう」と杉岡さん。

だが一方で村では、汚染の不安から戻らない人もおれば、長年の避難で生活が破綻した人もいる。帰還困難区域の長泥地区では、除染で出た土を埋め立てた上に農地を整備するという国の案を受け入れた。今後の見通しがない中で、苦渋の選択によって復興に望みをつながざるを得なかった。国策で強引に原発が立地され、最悪の事故が起きてなお各地で再稼働が強行される状況に抗するように、人々は「負げねぞ」と生きるために地を這い奮闘する。ソリダゴ・タラは一見雑草のようだが、黄色いかれんな花を春秋に咲かせる。もうすぐつぼみが膨らむその花言葉は「引っ込み思案」、そして「私に振り向いて」だ。

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