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フェイクとファクト SNS情報発信の問題

2019年4月26日 11時16分

フェイクニュースという言葉が広まったきっかけは、トランプ米大統領が自分に批判的なメディアをフェイクニュースとして攻撃したことである。皮肉なことに、その後トランプ大統領の発言そのものが、フェイクニュースのように批判される例も多くなっている。

4月中旬にネット上で相当な驚きをもたらした出来事がある。元暴走族ながら「東京大卒業」「イスタンブール大学院所属」「17社を起業」「トルコ親善大使」だとする触れ込みで講演をしていた人物が、実は「中卒、ニート」だとカミングアウトしたからだ。

さらにこれに対し、中卒も嘘で、都内の私立大を卒業しているという指摘がなされるに至った。まさにフェイク尽くしである。

この人物は単にネット上で経歴詐称をしていただけではなく、この肩書で独特な活動をしていた。2015年には企業家としてニコニコ生放送でプレゼンテーションをしている。16年には京都大のある学生団体主催のイベントでゲストとして話をしている。わざわざガウンを着て東京大の卒業式看板前で写真を撮るなどの細工はしていたが、冷静に考えればすぐばれそうな嘘の羅列だった。にもかかわらず、嘘が数年間も通用したところに、現代の情報社会におけるフェイクとファクトの境界線を巡る複雑な構図が見えてくる。

SNS(会員制交流サイト)上の画像や映像は、様々なフェイクに利用される。インスタグラムで自分の顔を大きく修正して公開するのは、むしろ一般的になっている。「インスタ映え」させて多くの人の関心を惹きつけるため、多少のフェイクを交えることに罪悪感のようなものはおそらくない。

くだんの事件では、本人のカミングアウトの後、詐称の証拠になりそうなサイトはことごとく削除され、詳細な検証ができなくなっている。都合が悪くなった関係者が複数いたと考えられる。昨年は省庁が各種の疑惑に対し、文書を破棄するなどして追及を逃れようとしたが、ネット上の情報は削除がより容易である。それがフェイクへの心理的負担を軽くしている可能性がある。

宗教活動におけるSNSの利用は広がっているが、利用形態はいっそう複雑になっていくと考えられる。さらに宗教に関わる話は、フェイクとファクトの境界を超越するような場合が少なくない。そのことが具体的にどのような問題を生むかは、なかなか予測し難い。宗教活動を紹介する画像や動画が、どのように用いられたときがフェイクになるのか。そうした議論も必要な時代に入っている。

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