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宗教不信の時代 純粋な経験と洞察の原点

2019年5月15日 15時26分

平成の30年間、我が国は戦争に巻き込まれることはなかったが、各地に大地震があり、原発が大事故を起こした。豪雨、水害や火山の噴火もあった。1995年にはオウム真理教が地下鉄でサリンを散布するという未曽有の事件があり、首謀者と実行犯は昨年、死刑を執行された。しかし事件がこれで片付いたわけではない。

そもそもオウム真理教とは何だったのか。教祖の麻原彰晃には宗教的経験と洞察があったのか。正当に表現されれば宗教的・文化的に意味があったのに、麻原はそれを短絡的にクーデターによる政権奪取と宗教国家建設の夢に変えたのか。それとも麻原は初めから一野心家にすぎなかったのか――このような疑問に正確な答えは与えられず、事件は世の「宗教」に対する不信を増幅させたように見える。

一般に教祖には宗教的な経験と洞察があり、それは人間の正しい在り方と、そこに至る道を示すものである。それは原理的には万人に可能な経験と洞察でありながら、日常的自我には覆われているのが常なので、まれに教祖といわれる人物が現れ、洞察に到達して語り明かし、語り伝える。

しかしその洞察は、元来客観的知識として伝達できるものではないから、まずはイメージや物語として表現され、教団が成立してさらに反省が加えられれば、教義や教説、行為規範などとして定式化される。それは組織としては必要不可欠なのだが、やがてイメージや物語、教説が表現ではない「客観的」真実そのものとして伝えられ、さらに想像や推理、希望や恐怖の念と結び付き、御利益だけを重視する教えが生まれることもある。

すると日常的自我には及び難い経験と洞察は忘れられ、教義・教説や「希望」の信奉そのものが「宗教」になってしまう。こうして日常的自我に隠された「深み」を明らかにして、欲望や煩悩に駆られる自我の誤りを正す宗教は、かえって単なる自我の信念、自我の営為へと変質し、教団がビジネスの様相を帯びることさえある。

このような場合、「教義・教説」も時代にそぐわぬものとなり、人々の関心を失っていくのだが、日常的自我より深い消息を伝える宗教への渇望は絶えることはない。常人には及び難い「超能力」や「救済」の約束が「宗教」として人々の関心を集めるのはこのようなときであろう。この場合、宗教はいったん伝統的な表現を放棄して純粋な経験と洞察に帰り、それを新しく語り直すほかはない。時代はそれを求めている。

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