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道徳の教科化 宗教系私学の独自性

2019年5月17日 12時51分

「特別の教科」として道徳の教育が小学校では昨年度、中学校でも今年度から始まった。第2次安倍内閣が立ち上げた「教育再生実行会議」が2013年2月、「いじめの問題等への対応について」と題する第一次提言の中で示した「道徳の教科化」案を受けて、学習指導要領改正によって導入されたものだ。

喫緊の課題であるいじめ問題については「いじめ防止対策推進法」が同年6月に制定されているが、道徳の教科化も安倍晋三氏は首相復帰後真っ先に取り上げ、具体化した。安倍首相の思い入れが強いと考えていいだろう。教科外活動から「特別の教科」に昇格する道徳の授業に対しては特定の「価値観」の押し付けにならないかといった危惧の声もあり、批判的なメディアも存在する。

価値の教育であるだけに、そうした懸念ももっともであり、今後の「特別の教科 道徳」の在り方については注意深く監視していく必要があるだろう。

その一方で注目されるのは、学校教育法施行規則第50条等で、私学においては「道徳」に代えて「宗教」とすることができる、と規定されている点だ。「特別の教科 道徳」の授業テキストは検定教科書になるが、宗教教育の教科書を行政が検定することはできないので、「道徳」を「宗教」に代える場合、教科書の決定は各校の権限となる。

06年、第1次安倍内閣によって教育基本法の大改正が行われた時の重要な争点の一つは国公立学校における宗教的情操教育導入の可否であった。個別宗派の信仰を超えた普遍的な宗教的情操を教育するという推進派の主張には否定的な意見が多く、改正教育基本法では宗教的情操教育は採らず、「宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない」(15条1項)と規定するにとどめた。

もとよりこれは公的教育に関わる規定であって、宗教系私学は建学の精神に基づく宗教情操教育を積極的に行うべきであり、独自の教科として現実に行われている。「特別の教科 道徳」に代わるという位置付けになっても、大きな変化はないかもしれない。

検定教科書による国公立学校の道徳教育と、独自教科書による宗教系私学の宗教教育は、同じ「特別の教科」という枠内で対比して考察することも必要になるだろう。多様な宗教教育が公的な道徳教育の適正さや歪みを照らし出す鏡になる可能性も考えられなくはない。

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