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ノートルダム大聖堂 火災復興に様々な反応

2019年5月24日 11時17分

フランス・パリのノートルダム大聖堂の火災からの復興について、マクロン大統領は「今から5年以内に完成させたい」と述べ、この事態に国を挙げて取り組む姿勢を示した。大手企業などが早速修復のための寄付を公表したのをはじめ、反響は世界に広まっている。

同大聖堂はエッフェル塔と並ぶパリの象徴であるとともに、カトリックのパリ大司教座聖堂として信仰の中心である。1905年の政教分離法に基づき聖堂の建物施設は国有財産だが、教会は無償使用できるとされている。

ライシテといわれるフランスの政教分離主義は、国家からカトリックの教権を排除するというフランス革命以来の大きな歴史的流れを背景に持つ。ライシテは世俗主義・非宗教主義とも訳される。フランス型の政教分離の理念は徹底した国家の非宗教性で、アメリカ型と対比的に政教の「非友好的分離」といわれることもある。

例えば、ムスリムの女子生徒が公立学校で「宗教的標章」としてスカーフの着用を禁止された問題は、信教の自由との関係が日本人にはやや理解しにくいが、公共の場、特に公教育で宗教的プロパガンダを排除するという原則に基づくものである。基本的には反教権主義の延長上の問題だ。

火災に遭ったノートルダム大聖堂は、歴史的由緒、建造物としての価値などから世界遺産に指定されている。国有財産であり、再建は国家の責任である。ただ、宗教施設として用いられている建物の再建事業を、国有の文化財であり宗教的には無色と言い切れるかどうかは微妙なところであろう。

それを考えると、マクロン氏がノートルダム大聖堂の再建を国家的最重要課題として強調した姿勢には興味深いものがある。愛国心や信仰がライシテと関わってくる。シャルリ・エブド事件などイスラームとのあつれきが目立つ中、カトリックの大聖堂が国家的統合のシンボルのイメージを帯びる可能性も考えられなくはない。

最近の報道では、再建のための寄付金税控除を定めた法律が制定されたが、世論調査では7割以上の国民が反対という。2024年のパリ五輪を目標に、マクロン大統領が功を焦っているとの批判もあるらしい。また、すでに1千億円以上の寄付が寄せられていて、大企業や大富豪の寄付金に対する税控除には一般市民から不満の声も上がっている、と伝えられる。ライシテの議論はあまり見当たらないが、大聖堂復興は政教分離の意味を考える材料を与えてくれるかもしれない。

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