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無縁・無援を超えて 寺や教会が縁のハブに

2019年5月31日 13時50分

「無縁社会における寺の役割」をテーマに先般、大阪でトークイベントが行われ、この社会での「縁のハブ」たる寺や教会の重要性が浮かび上がった。「ハブ」とは放射状に線が広がるその中心軸、要、いわばネットワークの中心だ。

「無縁社会」の問題点は、無援つまり人々が分断され、「自己責任」の名の下で生きていく最低限のセーフティーネットからもこぼれ落ちることだ。この分断や経済格差や貧困は、「絆」が叫ばれた東日本大震災以降も、「新しい時代」との大合唱が起きている現在も変わってはいない。世間が浮かれ騒ぐこの大型連休中には各地で悲惨な自死が目立った。

無援は別の言い方をすると「孤立」である。誰にも知られず独り亡くなる「孤立死」も、母子家庭でその日の食事にも困る状態にどこからも手が差し伸べられないことも。自死問題でも、経済的困窮や失業、家庭や職場での人間関係やいじめなど要因は多様だが、死まで思い詰めるような苦しみの中でそれを打ち明け相談できる人が一人もいない「孤立」が最後の引き金になるということを、この問題に取り組む宗教者から聞いた。

同様に、無援に抗していろんな働きが宗教者によって続けられている。ハンセン病の元患者ら差別に苦しむ人たちと交流する。原発事故で故郷を追われ、耐用年数の過ぎた仮設住宅にひっそり暮らす高齢者を訪問する。路上で野宿する人たちに食料を配給する僧侶たちは、「話をしたいんだよ」という彼らの叫びのような声が印象に残るという。困窮者の生活支援をする牧師は「質より量」を強調する。つまり緊急時には福祉士やワーカーら専門家の数少なくても“太い綱”が重要だが、生きていくには細くても百、二百と数の多い普通の人たちとの“付き合いの糸”が大事で、少々切れてもびくともしないのだ。各地の取り組みは、言うならば縁づくりだ。

主な宗教は「人は助け合うべきものだ」と教える。寺や教会は、それ自体が無縁・無援の人々に縁の手を差し伸べるべき役割を担うと同時に、世の様々な縁同士をつなぐ結節点であり得るということだ。現在、地方で辛うじて機能する「地域の人々の拠り所」としてのその在り方は、無縁状態が顕著な都市部でも、地縁や血縁などとは異なる要因による住民のつながり、例えば何らかの課題を介した運動のネットワークや、「苦縁」つまり困っている人を支えるという苦をきっかけにした新たな縁の形をとった、いわばゲゼルシャフト的「地域社会」の中心として生かされる面があるだろう。

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